離婚後共同親権とは?日本ではいつから採用?各国の離婚後親権事情

離婚後共同親権

日本の親権制度は婚姻時共同親権と離婚後単独親権の2つあり、婚姻中と離婚後で親権を行使する人が変わります。

しかし、離婚後単独親権制度については、非親権者と子どもの関係断絶などの批判が多く、改正を求める声が強まっています。

日本の親権制度

日本の民法は、婚姻時と離婚後で異なる親権制度を採用しています。

婚姻中は夫婦の共同親権

夫婦が法律上の婚姻をしている間は、夫婦が共同して子どもの親権を行使する「共同親権」です。

婚姻時共同親権は、民法第818条に規定されています。

  1. 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
  2. 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
  3. 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

(民法第818条)

第3項に「父母の婚姻中は、父母が共同して行う」と明記されており、子どもの監護教育や財産管理について父母が共同して決め、実行する必要があります。

共同親権の主な内容は、以下のとおりです。

  • 監護及び教育の権利義務(民法820条):子どもを監護(身体上の監督や保護)して教育(精神的・心理的な発達を支える)する権利義務
  • 居所の指定(民法821条):子どもを監護養育するために、子どもが住む場所を指定する権利義務
  • 懲戒(民法822条):親が子どもの監護教育に必要な範囲で子どもを懲戒する権利義務
  • 職業の許可(民法823条):親権者が子どもの職業を制限する権利義務
  • 財産の管理及び代表(民法823条):子どもの財産管理や法律行為の代理・同意を行う権利義務

引用:離婚ハンドブック

共同親権については、関連記事で詳しく解説しています。

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離婚後は父または母の単独親権

離婚後は父または母の単独親権となるため、離婚時には、未成年の子どもの親権者を父または母の一方に定めなければなりません。

離婚後単独親権については、民法第819条に規定されています。

  1. 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
  2. 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
  3. 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
  4. 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
  5. 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。

(民法第819条)

いずれの方法で離婚するにしても、離婚後は父母の一方が親権者となり、夫婦が共同して親権を行使することはできません。

なお、親権と監護権を分けて父と母に分属させるケースがありますが、例外的な取り扱いですし、親権(監護権)を父母のいずれか一方が行使することは変わりません。

離婚後単独親権制度が採用されている背景にあるのは、関係が悪化して婚姻を解消させた元夫婦が子どものためとはいえ協力することは難しいという考え方です。

つまり、離婚後共同親権を採用すると、元夫婦が子育て方針をめぐって対立して子どもが巻き込まれるなど、「子の利益(子どもの福祉)」を害するおそれがあると考えられているのです。

日本以外の各国における離婚後の親権制度

日本以外の各国に目を向けると、離婚後共同親権を採用している国が多いことが分かります。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、1970年代頃までは、ほぼ全ての州が母性優先の原則に基づいて親権者が決められていました。

つまり、母親の親権者としての適格性に特段の問題がなければ、自動的に母親が親権者になっていたのです。

しかし、男女平等の原則が普及するにつれて、親権者は「子どもの最善の利益」に基づいて決めるもので、性別による優劣で決めるものではないという考え方が浸透しました。

そして、子どもの最善の利益を実現するには、子どもが父母双方と十分に関わる必要であるという考え方が広まり、離婚後の共同親権や面会交流権を前提とした単独親権が採用されるようになりました。

離婚後の子供の親権は、連邦法ではなく各州の法律で規定されていますが、いずれも子どもの最善の利益を重視し、共同親権か、共同親権と面会交流権付の単独親権の選択制を規定しています。

共同親権(共有親権)

共同親権には、法的共同親権と物理的共同親権の2つがあります。

法的共同親権 父母それぞれが子どもに関する主要な決定をする権利

例:子どもの教育、医療、車の運転、習い事、宗教など

物理的共同親権 父母それぞれが子どもと多くの時間を過ごす権利

例:一週間交代で父母それぞれと暮らすなど

全ての州が、子どもの養育の選択肢として共同親権を規定しています。

共同親権を法的推定とする州については、父母が共同親権以外を選択した場合や、共同親権が子どもの最善の利益にならない場合を除いて、裁判所が共同親権を命令することになっています。

面会交流権付きの単独親権

アメリカ合衆国では、夫婦が単独親権を選択した場合、親権者となった親が子どもを主に養育し、教育、医療、宗教など子どもに関する主要な決定をする権利を持ちます。

一方で、非親権者には、子どもに害が及ぶことが明らかな場合を除いて、子どもと過ごす権利が与えられます。

例えば、「2週間ごとに金曜日の夜から日曜日の夜までの2泊3日の交流」、「1週間に1度は非親権者の家に泊まり、そこから翌日は学校に通う」、「夏休みの数週間程度は非親権者の家で過ごす」などの面会交流が認められます。

「月1回、数時間程度」が一般的とされる日本の面会交流とは、頻度も時間も大きな開きがあります。

なお、子どもとの過ごすことを収監者との制限付きの面会を意味する「visitation」で表現することへの批判もあり、「parenting time(養育時間)」と呼ぶこともあります。

ドイツ

ドイツでは、1982年に連邦憲法裁判所が離婚後の単独親権を違憲とする判決を出し、1997年に離婚後共同親権(共同配慮)を規定した親子法改正法が立法化されました。

1997年の親子法改正法では、離婚した父母は、自己責任及び父母の合意に基づいて、子の利益のために親としての配慮を行わなければならないとしています。

面会交流については、父母のいずれも他方の親と子どもの関係を侵害したり養育を妨げたりすることを禁じており、痔守られない場合には家庭裁判所が交流保護(親子の交流を実現するための保護)を命じることができます。

また、面会交流の履行を確保する手段として、秩序金(限度額:25、000ユーロ)などによる制裁制度や、それが功奏しなかった場合などの直接強制制度を設けています。

また、別居親から同居親に対して、正当な利益があり、子の利益を反しない範囲において、子どもの状況に関する情報を求める情報提供請求権が認められています。

 

 

フランス

フランスでは、1970年に「父権」を「親権」に改称して父の優位性が廃止され、婚姻時共同親権が規定されるとともに、離婚後は父母いずれかに監護と親権を委ねて非親権者には訪問権を付与する民法典改正が行われました。

1993年には、離婚後は親権の共同行使を原則とする改正が、2002年には、両親の子どもへの共同責任実現のために交替居所の制度を導入、2007年には交替居所が認められなかった場合の訪問権、宿泊させる権利、面会場の規定を明文化しています。

交代居所制度 父母の離婚後、一定期間ごとに、子どもの居所を父母双方の住所に交互に定める制度

交代居所制度を利用するか、父母のいずれかの住所を子どもの居所に定めるか選択できる

訪問権・宿泊させる権利 子どもと離れて暮らす親が子どもと交流したり宿泊させたりする権利

親権が共同行使されるが居所交代制度は利用されない場合、親権が単独行使される場合だけでなく、親権が制限されている場合も認められる

祖父母など父母以外にも認められる

面会場 訪問権を行使しやすくするために民間団体によって設けられる親子の交流場所

父母が高葛藤、DVなどの問題がある場合に、裁判官が面会上における訪問権の行使を命じる

韓国

韓国では、離婚後の親権について父性優先の原則が採用されていました。

しかし、1990年の親族法改正により、離婚後の親権が父母の協議で定めることされて共同親権が選択できるようになり、面会交流も別居親の権利として規定されました。

2005年には、親権者指定の協議ができない、または、まとまらない場合、家庭法院へ親権者指定の審判を申し立てることを義務化するとともに、子どもの福祉(子の利益)が親権行使の基準であるとする規定を設けました。

単独親権と共同親権は選択制ですが、家庭法院(韓国の家庭裁判所)は、離婚後も父母が良好な関係を維持できる場合には共同親権が望ましいことを周知しており、日本の家庭裁判所の対応とは異なります。

日本ではいつから離婚後共同親権が採用されるか

先進国の多くが離婚後共同親権を採用する状況下、日本が現在も離婚後単独親権を採用していることについて、国内外から批判が強まっています。

離婚後単独親権の問題としては、子の利益(子どもの福祉)の侵害、子どもの違法な連れ去り(子連れ別居)、片親引き離し症候群と片親疎外などを挙げることができます。

いずれも子どもや別居親の権利を著しく侵害するものですが、今もなお、継続している問題です。

法務省の動き

上川陽子法務大臣は、2018年7月17日の記者会見において、離婚後共同親権制度の導入について検討する考えを示しました。

以下、記者会見の内容です。

御指摘の報道がされたことは認識しています。現行法の下では、父母の離婚後はそのいずれか一方のみが子の親権者となるわけですが、離婚後も父母の双方が子の監護教育の責任を負うべきであるとして、離婚後も父母が共に親権者となる制度を導入すべきであるとの意見があることは承知しています。

一方で、離婚後共同親権制度の導入に当たっては、父母の関係が良好でない場合に、親権の行使について父母の間で適時に適切な合意を形成することができないことによって、子の利益を害するおそれがあるとの指摘もなされています。

法務省としては、今後、無戸籍者の解消に向けた取組の一環として、嫡出推定制度の見直しに向けた検討を開始する予定であり、これとも関連する親子法制の諸課題について、離婚後単独親権制度の見直しも含めて、広く検討していきたいと考えています。

今後の見通しですが、こうした親子法制の見直しに関する具体的な日程や見直しの対象範囲については、現時点では未定です。

引用:法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要

現時点で具体的な検討内容は示されていませんが、ニュースなどでは2019年の法制審議会に諮問される見通しが伝えられています。

したがって、現時点で日本において離婚後共同親権が採用されるか否かは不明ですが、法務省が共同親権の検討を始めており、状況が変化しつつあると言えます。

【参考】

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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