離婚準備は何をする?離婚後に後悔しない生活を送るために準備すること

離婚の準備 離婚したい 離婚前にしておきたいこと

日本には協議離婚制度があるため、離婚届さえ市区町村役場に受理されれば離婚することができます。

しかし、その場の気持ちや感情に流されて離婚してしまうと、「離婚を急ぐあまり子どもの親権を元夫にしてしまった。」、「養育費や財産分与を決めずに離婚し、離婚後に協議を希望しても応じてもらえない。」など、離婚後に後悔することになりがちです。

そのため、後悔しない離婚をするためには、十分に離婚の準備をしておくことが大切です。

離婚後に後悔しないよう離婚前にしておくこと

現実問題として、離婚後の生活を十分に考えないまま離婚した人の多くが、日々の生活もおぼつかないほどの貧困に陥ったり、離婚後の住まいを確保できず施設を転々としたりする状況に置かれています。

特に、シングルマザーの低所得とそれに伴う母子家庭の貧困は深刻で、社会問題となっています。

そのため、離婚後に後悔しないためには、まず、「離婚後に安定した生活を送ることができるだろうか。」ということを十分に考える必要があります。

婚姻中に専業主婦(主夫)として配偶者の収入に頼って生活してきた人も、仕事に打ち込んで家事育児を配偶者に任せきりにしていた人も、離婚後は原則として自力で生活費を稼ぎ、家事育児をこなさなければなりません。

離婚を決意したら、「離婚後に安定した収入が得られるだけの仕事に就けるだろうか。」、「家事育児と仕事を両立できるだろうか。」、「親の離婚で傷ついた子どもを適切にケアしてあげられるだろうか。」など、離婚後の生活について具体的にイメージしていて、その一つひとつに自分なりの答えを見つけてください。

そして、「うまくいかないかもしれない。」、「後悔するかもしれない。」だと思ったら、後悔しないために離婚前にしておくことを考えて実践しましょう。

どうしても離婚後の生活が軌道に乗るイメージができない場合は、離婚を切り出すタイミングについて再考することも検討してください。

「何とかなるだろう。」と安易に考えて離婚した結果、何とかならなかった場合に悲惨な思いをするのは、自分自身であり、子どもです。

以下、離婚したい人の多くに当てはまる離婚前の準備について確認していきます。

離婚の準備:離婚後の生活(住まいと仕事)の準備をする

離婚後の生活を安定させるために欠かせないのが、住まいと仕事です。

離婚後の住まい

離婚後の住まいの主な選択肢は、5つです。

  • 住まい メリット デメリット
    実家
    • 家賃負担がない
    • 生活費負担が少ない
    • 家事育児の負担が減る
    • 子どもとの時間が増える
    • 手当等の受給資格に影響
    • 親死亡後の生活に困る
    • 親の老後の世話を頼まれる
    • きょうだいに不満を持たれる
    自宅
    • 生活環境の変化が少ない
    • 子どもへの影響が少ない
    • (家賃がかからない)
    • 近隣住民の目
    • 婚姻中の記憶が甦る
    • (住宅ローンの負担)
    賃貸住宅
    • 生活を一新できる
    • 住む場所を選択できる
    • 敷金・礼金の負担
    • 月々の家賃の負担
    • 入居が難しいことがある
    公営住宅
    • 家賃が安い
    • 応募時期がある
    • 物件を選べない
    • 問題のある居住者
    自宅購入
    • 資産形成になる
    • 住宅ローンの負担
    • 定住する必要がある

いずれの住まいを選ぶにしてもメリットとデメリットがあるため、経済的な事情(収入と支出)、地域の治安、通勤の便利さ、子どもの通学、実家からの距離などを踏まえて慎重に選択する必要があります。

なお、実家に戻る場合は、実家の親やきょうだいに事前連絡し、了解を得ておく必要があります。

きょうだいについては、実家に住んでいるか否かに関わらず連絡しておきましょう。

無断で実家に戻って親の援助を得ながら生活をするようになると、きょうだいから不公平だと不満を言われたり、親の遺産分割で紛糾したりするおそれがあるからです。

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離婚後の仕事

離婚後に仕事をする場合の主な雇用形態は、4つです。

雇用形態 メリット デメリット
正社員
  • 給料が高い
  • 福利厚生が充実
  • 採用されにくい
  • 拘束時間が長い
  • 時間外勤務や転勤
パート・アルバイト
  • 採用されやすい
  • 勤務時間に融通が利く
  • 給料が安い
  • 勤務時間で給料が変動
派遣社員
  • 給料や福利厚生がパートより良い
  • 期限付で職場に縛られない
  • 同じ職場で長く働きにくい
  • 正社員との待遇格差
在宅勤務(内職)
  • 柔軟な働き方が可能
  • 子供と過ごす時間が長い
  • 自己マネジメントが必要
  • 給料が安定しない

婚姻中に無職またはパート・アルバイト勤務で、就職に役立つ資格や経験がない場合、離婚後に安定した生活ができるだけの収入を得られる仕事に就くのは容易ではありません。

特に、乳幼児を養育している母子家庭のシングルマザー(父子家庭のシングルマザー)は、子育て中であることを理由に敬遠されることも珍しくありません。

そのため、離婚前から離婚後の仕事を探し始め、できることなら内定させておくことが大切です。

家事育児や離婚の準備に加えて就職活動まで一人でするのは難しい場合、マザーズハローワークやマザーズコーナーを利用する方法があります。

マザーズハローワークなどでは、子育て中の女性が働きやすい職場などを紹介してくれる他、履歴書の添削、就職講座の開講、採用面接時の一時預かりなどの支援も行ってくれます。

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親頼み、養育費頼みはリスクが高い

離婚したい人の中には、「離婚後は実家の親が支援してくれる見込みだし、養育費も貰えるはずだから。」といって、離婚後の収入について準備を怠る人がいます。

しかし、実家の親がいつまでも支援してくれるとは限りません。

退職すれば収入が減りますし、親が亡くなれば支援を受けることはできなくなります。

養育費についても同様です。

養育費は、親の子どもに対する扶養義務に基づくもので、法律上子どもの健全な成長を支えるために不可欠な金銭です。

しかし、離婚時に養育費を取り決めても支払われるとは限らず、実際のところ、養育費の支払いが継続されるケースよりも支払われなくなるケースがおおくなっています。

そのため、離婚したいと考えるのであれば、離婚後の家庭は自分が支えるという意識で仕事を探す必要があります。

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離婚の準備:離婚理由の整理と裏付け資料の収集

「なぜ離婚をしたいのか。」という質問に対して、具体的に説明できるようにしておくことと、説明を裏付ける資料を準備しておくことも大切です。

協議離婚の場合

協議離婚の場合、夫婦で離婚について話し合うことになります。

相手が離婚を望んでいない場合、離婚を希望する理由を伝え、離婚に納得まではできなくても同意してもらう必要があります。

そのためには、離婚したい人自身が「なぜ離婚したいのか。」を自分の中で整理し、言語化できるようにしておく必要があります。

調停離婚(審判離婚)の場合

家庭裁判所の夫婦関係調整(離婚)調停を利用して離婚を目指す場合も、協議離婚と同じです。

調停委員という第三者を介すものの、基本的には夫婦間の話し合いであり、離婚したい理由を伝えて夫婦間で離婚の合意ができなければ、離婚することはできません。

裁判離婚の場合

夫婦間で離婚の合意ができる見込みがない場合、裁判で離婚を目指すことになります。

裁判離婚では、法定離婚事由が存在し、それによって夫婦関係が破たんしたと家庭裁判所が認めないと、離婚することができません。

また、夫婦の主観的な主張よりも、客観的な資料が大きな影響力を持ちます。

したがって、「なぜ離婚したいのか。」を口で説明できるだけでは足りず、離婚したい理由を裏付ける客観的な資料を準備して裁判官に示す必要があります。

法定離婚事由は、民法第770条第1項に規定されています。

夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(民法第770条第1項)

例えば、相手の不貞(浮気)を原因として離婚したい場合、不貞相手とホテルから出てくるときの写真、不貞相手とのやり取りを記録したメールや音声のデータ、興信所の調査結果などが資料になります。

相手のDV(ドメスティックバイオレンス)が原因で離婚を望むのであれば、医師の診断書や膀胱場面を録音録画したデータなどを準備することになります。

離婚の資料収集のポイント

離婚の裏付け資料を収集するときのポイントは、以下のとおりです。

  • 相手に離婚したいと伝える前に資料を収集する
  • 画質の良い録音・録画データを収集する
  • 経緯を時系列で整理する

離婚を伝えた後は、相手も離婚という選択肢を頭に入れて行動するようになるため、資料の収集が難しくなります。

資料としては、録音や録画のデータが強い影響力を持ちますが、画質が悪いと効果が薄れます。

したがって、高音質や高画質のデータを収集することが大切です。

また、どの資料をいつ収集したかが一目で分かるよう、離婚を希望するに至る経緯を時系列で整理しておきましょう。

離婚の準備:離婚の条件を決める

通常、夫婦が離婚する場合は、離婚の合意だけでなく、離婚条件(子どもの親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割、慰謝料など)もまとめて取り決めます。

自分の中で離婚の条件を整理しておかないと、相手の主張を押し通されたり、その場の雰囲気で希望とは異なる条件を受け入れたりするリスクがあります。

頭の中でぼんやりと考えておくだけでなく、必ず具体的に書きだしておきましょう。

離婚の条件 具体的な内容
子どもの親権 母が親権者になる
養育費
  • 金額:子ども一人につき月3万円
  • 期間:離婚した日を含む月から、子どもが20歳に達する日を含む月まで
  • 支払時期:月末
  • 振込先:子ども名義の口座
面会交流
  • 頻度:月1回
  • 日時:日中2時間程度、日は協議して決める
  • 調整方法:メール
  • 受渡方法:◯◯公園の前
  • 受け渡す人:夫または妻
財産分与
  • 預貯金:夫婦の預貯金を合計して折半
  • 自宅:相手名義に変更し、ローンも負担させる
  • 分与時期:離婚後1ヶ月以内
  • 分与方法:相手から自分の口座へ振込み(預貯金)
年金分割 婚姻期間中の記録を折半(合意分割)
慰謝料
  • 不貞の慰謝料:200万円(不貞相手も同額)
  • DVの慰謝料:200万円

財産分与の準備のポイント

財産分与の準備としては、夫婦の財産をリストアップしておくことがポイントです。

注意したいのは、マイナスの財産がある場合です。

財産分与は、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も分与の対象となります。

そのため、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合は、財産分与を主張するか否かについて慎重に検討する必要があります。

離婚の準備:調停離婚や裁判離婚の知識を学習する

「きちんと話し合えば、離婚に合意してもらえるはず。」と思っていても、蓋を開けてみると離婚に猛反対され、離婚条件も全く折り合えないというケースは多いものです。

また、DVやモラハラ(モラルハラスメント)、ギャンブル依存、薬物依存、アルコール依存などが原因で離婚したい場合、協議離婚することは難しく、最初から調停または裁判で離婚することを視野に入れておく必要があります。

そのため、調停離婚や裁判離婚の手続きや具体的な方法について、事前に学習しておくことが大切です。

例えば、調停が月1回程度しか開かれないこと、調停が不成立になると一旦手続きが終了すること、調停委員が申立人の味方をしてくれないことなどは、知らない人が少なくありません。

裁判離婚では、公開の法廷で行われること、必ず離婚できるとは限らないこと、離婚するまでに1~2年かかること、資料作成などに費用がかさむこと、弁護士に依頼しなくても手続きができることなどを知らない人が多いものです。

離婚ハンドブックでも調停離婚や裁判離婚の情報を掲載していますが、離婚に関する書籍を1冊購入して読み込んでおくと、離婚の仕組みや流れが総合的に理解しやすいでしょう。

離婚の準備:離婚後の子どものことを考える

親が離婚した子どもは、心に深い傷を負います。

希望して離婚した人は、離婚後に気持ちを切り替えて前に進む意欲を持ちやすいものですが、子どもはそうはいきません。

親の都合で離婚紛争に巻き込まれた挙句、親の一方と強制的に引き離されるという過酷な経験をした子どもが、親よりも大きなダメージを受け、その回復に親以上の時間と手厚いケアが必要であることは想像に難くないはずです。

親としては、離婚するという選択は変えられないとしても、離婚によって子どもが受ける影響が少しでも軽くなるように配慮してあげることは欠かせません。

離婚前には、離婚を考えていることを子どもに伝え、子どもの意見や希望を十分に聞いてあげましょう。

そして、一緒に住む親、住む場所、転校、友人のことなど子どもから出された意見や希望は、できる限り尊重できるよう夫婦間で協議してください。

また、離婚後にどのようなケアができるかについても考えなくてはなりません。

夫婦で話し合っても思い浮かばない場合は、子育て支援センターなどの相談窓口で相談してください。

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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