離婚の効果一覧!戸籍・氏、姻族関係、親権者・監護権者、財産分与、慰謝料

離婚 効果 戸籍 氏 姻族関係

離婚すると、法律上の婚姻によって夫婦間に生じた権利義務が消滅します。

その他、戸籍が変動し、姻族関係が消滅し、財産分与・慰謝料を請求する権利が生じるなど、様々な効果があります。

法律上の夫婦間の権利義務関係の解消

離婚することにより、法律上の婚姻によって夫婦の間に生じた権利義務関係が消滅します。

消滅される夫婦間の権利義務関係は、以下のとおりです。

  • 同居・協力・扶助義務(民法752条)
  • 成年擬制(民法753条)
  • 夫婦間の契約の取消権(民法754条)
  • 貞操義務
  • 夫婦財産契約(民法755~759条)
  • 婚姻費用の分担(民法760条)
  • 配偶者の相続権(民法890条)

一方で、婚姻によって生じた成年擬制(民法753条)については離婚によっても効果が消滅ません。

また、日常の家事に関する債務の連帯責任はなくなりますが、婚姻期間中にできた債務は残ります。

同居・協力・扶助義務(民法752条)

同居・協力・扶助義務とは、夫婦が同じ場所に住み、婚姻生活の継続に必要な事柄について協力し、夫婦が同程度の生活を維持できるよう扶養する義務です。

離婚によって夫婦は他人同士になり、同居・協力・扶助義務はなくなります。

離婚後も相手と同居を継続したり、援助したりする男女もいますが、事実上行っているのであって、法律上の義務はありません。

夫婦間の契約の取消権(民法754条)

夫婦間の契約の取消権とは、夫婦間で結んだ契約について、婚姻期間中いつでも取り消すことができる権利です。

夫婦間契約に関する定めであり、離婚によって当然に消滅します。

貞操義務

貞操義務とは、婚姻相手以外と性交渉をしない義務です。

離婚によって夫婦関係が解消されると、貞操義務を果たす相手がいなくなるため、当然に消滅します。

夫婦財産契約(民法755~759条)

夫婦財産契約とは、婚姻届を提出する前に、婚姻中の夫婦の財産について契約しておく制度です。

婚姻前に契約しておく必要があり、婚姻後に変更することができないなど利用しにくい制度で、実際に契約が結ばれることは稀です。

婚姻中の夫婦の財産に決めておくための制度なので、契約を結んでいたとしても、離婚して他人同士になると効力を失います。

婚姻費用の分担(民法760条)

婚姻費用とは、婚姻期間中における夫婦やその間に生まれた子どもにかかる費用のことです。

例えば、衣食住にかかる費用、出産費用、養育費、教育費、医療費、遊興費などが婚姻費用です。

民法760条では、「夫婦は、その資産・収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定められており、法律上の婚姻をした夫婦は、生活扶助義務(婚姻相手に自分と同レベルの生活水準を維持させる義務)の限度で分担することになっています。

離婚によって夫婦関係を解消すると、婚姻費用を分担する義務もなくなります。

配偶者の相続権(民法890条)

民法890条では、「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」と定められています。

離婚して夫婦関係が解消されると、「配偶者」ではなくなるため相続権も消失します。

成年擬制(民法753条)

成年擬制とは、法律上の婚姻をした未成年者を成年とみなすことです。

独立した婚姻生活を安定して送るために設けられた制度です。

成年擬制については、未成年者がもうけた子どもの親権をめぐる混乱防止や取引の安全確保のため、離婚によって夫婦関係が解消されても成年擬制の効果は消滅しません。

日常の家事に関する債務の連帯責任(民法761条)

民法では、日常の家事に関する債務について夫婦が連帯して責任を負うことと定められています。

例えば、生活必需品の購入、家屋の賃貸借契約、子どもの養育・教育・医療・保険に関する契約などは、日常の家事に関する法律行為とされ、その債務について夫婦が連帯して責任を負わなければなりません。

離婚して夫婦関係が解消されると、連帯して責任を負う義務はなくなりますが、婚姻期間中にできた債務は返済しなければなりません。

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戸籍と氏

法律上の婚姻をした夫婦は、婚姻期間中は夫または妻の氏を称する必要があります。

いわゆる「夫婦同姓」で、日本では夫婦別姓が認められていないため、婚姻によって夫婦の一方は必ず氏が変わります。

法律上の婚姻によって氏を変更した人(婚姻相手を筆頭者とする戸籍に入った人)は、離婚後の氏と戸籍について選択することがあります。

氏について

原則、婚姻によって氏を変更した人は、離婚後は当然に婚姻前の氏(旧姓)に戻ります(復氏)。

一方で、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」という戸籍法上の届け出を行うことにより、婚姻中の氏(婚氏)を離婚後も使用し続けることができます(婚氏続称)。

例えば、離婚によって姓が変わると仕事や子どもの学校などで不都合が生じる場合に、婚氏続称の手続をすることになります。

なお、離婚の日から3ヶ月を過ぎてから婚姻中の氏を使いたいと思った場合、氏の変更の審判を家庭裁判所に申し立てなければなりません。

戸籍について

原則、婚姻によって婚姻相手を筆頭者とする戸籍に入った人は、離婚後は婚姻前の戸籍に戻ります(復籍)。

ただし、以下の場合には自分を筆頭者とする戸籍が新しく作られ、その中に入ることになります。

  • 婚姻前の戸籍が除籍されている
  • 婚姻によって戸籍が変動した人が、新戸籍の編製の申し出をする
  • 婚氏続称の届け出を行った

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姻族関係

姻族関係とは、法律上の婚姻により、夫婦の一方ともう一方の親族の間に生じる親族関係のことです。

民法725条では、3親等内の姻族(婚姻相手の伯父・叔父や伯母・叔母など)を親族とすると定められています。

また、民法728条1項では、「姻族関係は、離婚によって消滅する。」と定められており、離婚によって姻族関係が消滅することが明記されています。

なお、同2項では、「夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」についても姻族関係が消滅すると定められています。

親権者・監護権者

子どもの親権について、日本では婚姻期間中は共同親権制、婚姻期間中以外は単独親権制を採用しており、離婚時には父母のどちらか一方が親権者になる必要があります。

離婚した父母が協力して子どもを育てる意思を有していても、離婚していれば親権者を父母の一方に定めなければなりません。

協議離婚する場合、離婚届に子どもの親権者を記載しないと市区町村役場で受理されません。

また、記載するかどうかは任意ですが、子どもを監護しない親と子どもの交流(面会交流)と子どもの監護に必要な費用(養育費)の取り決めについて記載する欄が設けられています。

調停離婚(審判離婚)する場合、離婚することと子どもの親権を決めないと調停を成立させることができません。

面会交流や養育費について取り決めずに調停を成立させることもできますが、通常は、調停委員会から取り決めるよう促されます。

離婚裁判では、家庭裁判所が離婚を認める判決をする場合、必ず子どもの親権者を決め、また、多くのケースで面会交流や養育費についても判断します。

監護権者とは

監護権とは、子どもを実際に監護する権利・義務のことです。

監護「権」という名前がついていますが、親として子ども適切に監護する義務の側面が強いものです。

通常、親権には監護権(身上監護権)と財産管理権の2つが含まれており、子どもの親権者となった親が2つの権利を行使することになります。

しかし、離婚調停や離婚裁判の実務では、稀ですが父母で監護権と親権(財産管理権のみ)を分けることがあり、監護権を得た親を監護権者と呼びます。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中の夫婦が築いた財産について、離婚時または離婚後に分割する手続です。

離婚時に親権や養育費などと一緒に話し合われることが多いものですが、まずは離婚することを優先し、離婚後に財産分与について話し合うケースも少なくありません。

ただし、財産分与を請求できるのは、離婚してから2年間です。

2年を過ぎると請求する権利がなくなるため、注意が必要です。

慰謝料

慰謝料とは、婚姻相手からのDVやモラハラなどにより受けた精神的苦痛に対する損害賠償金です。

離婚時に請求することが多いですが、離婚後に請求することもできます。

ただし、慰謝料を請求できるのは離婚してから3年間で、3年を過ぎると請求できなくなります。

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