離婚の種類と手続の順番:各離婚手続の方法と特徴、メリット・デメリットを解説

    最終更新日: 2019.11.14

離婚する方法は、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚(離婚訴訟)の4種類あり、それぞれ手続の方法が異なります。

離婚を決意したら、離婚の種類と特徴を確認し、どの手続で離婚を目指すのか決めることになります。

離婚の種類

日本では、市区町村役場に離婚届を提出する「協議離婚」を選択する人が多いですが、協議離婚以外にも離婚する方法があります。

離婚の種類は、以下のとおりです。

  • 協議離婚:夫婦が話し合いで離婚する方法
  • 調停離婚:家庭裁判所の調停で話し合って離婚する方法
  • 審判離婚:調停で合意した内容に基づいて家庭裁判所の審判で離婚する方法
  • 裁判離婚(離婚訴訟):家庭裁判所の裁判(人事訴訟事件)で争って離婚する方法

離婚手続の順番

通常、離婚すると決めたら、まずは夫婦の話し合いで協議離婚を目指すことになります。

しかし、お互い感情的になって話し合いができない、話し合いはできるけれどまとまらない、子どもの親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料・年金分割で対立しているなど、夫婦の話し合いで離婚できないケースもあります。

その場合、家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)の調停を申し立てて、裁判官と調停委員で構成される調停委員会を交えて話し合い、合意ができれば調停離婚することができます。

調停でおおむね合意ができたものの、夫婦の一方が遠方に居住していて調停に出席できない、些細なところにこだわるなどの場合、調停で合意できた内容に基づいて家庭裁判所が審判で離婚を決定することがあります。

これが審判離婚です。

夫婦の話し合いや調停手続を利用した話し合いでも離婚できない場合、家庭裁判所に裁判(人事訴訟事件)を起こし、公開の法廷で離婚やその条件を争って離婚することもできます。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦が話し合いで離婚する方法です。

離婚する夫婦の約90%は協議離婚によって離婚しており、また、他の方法で離婚する夫婦の多くも、まずは協議離婚を目指し、夫婦間で合意ができない場合に調停や裁判を利用しています。

協議離婚の方法

離婚やその条件について夫婦で話し合い、合意ができたら市区町村役場に離婚届を提出します。

離婚届が受理された時点で協議離婚が成立します。

協議離婚の特徴

協議離婚の特徴は、以下のとおりです。

  • 法律上の離婚事由(理由)がなくても離婚できる
  • 離婚条件について柔軟な取り決めができる
  • ①離婚することと②子どもの親権者について夫婦の合意があれば離婚できる
  • 調停や裁判のように費用がかからない
  • 一時の感情に流されて離婚してしまうことがある
  • 離婚条件を書面化していないと、離婚後に履行されないおそれがある

裁判離婚する場合、民法という法律に定められた離婚事由(理由)がないと離婚が認められませんが、協議離婚の場合、夫婦が合意すれば離婚事由がなくても離婚することができます。

また、協議離婚では、離婚するかどうか、子どもの親権・養育費・面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などについて、夫婦間で柔軟に取り決めることができます。

離婚条件のうち、離婚届に記載しなければならないのは子どもの親権者だけなので、この2つについて夫婦が合意して市区町村役場に離婚届を提出すれば、基本的には受理されて離婚が成立します。

一方で、一時の感情に流され、離婚条件について十分な話し合いをしないまま離婚届を作成・提出してしまい、離婚後に後悔するケースが少なくありません。

また、離婚届を提出する前に、離婚条件について公正証書を作成して書面化しておかないと、離婚後に約束を履行させることができなくなってしまいます。

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協議離婚の進め方:協議書を公正証書にする必要は?弁護士に依頼する?

調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所の家事調停を利用して離婚する方法です。

夫婦の話し合いでは離婚やその条件について合意がまとまらず協議離婚が難しい場合、調停離婚によって離婚を目指すことになります。

裁判官と男女各1名の調停委員で構成される調停委員会を交えて離婚について話し合い、夫婦間で合意ができれば調停が成立して離婚となります。

調停離婚の方法

家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停を申し立て、調停において離婚やその条件に付いて話し合い、夫婦の合意ができた時点で調停が成立します。

調停が成立した時点で、離婚が成立します。

調停成立後、調停離婚したことを市区町村役場に届け出る必要がありますが、事後的な報告であり、離婚の成立は調停が成立した時点です。

調停離婚の特徴

調停離婚の特徴は、以下のとおりです。

  • 家庭裁判所という公的な場で、調停委員会という第三者を交えて、落ち着いて離婚の話し合いができる
  • 離婚やその条件について、離婚後のことも考えて取り決めができる
  • 調停で取り決めた離婚条件については、法的に履行を促したり履行させたりすることができる
  • 離婚までに時間がかかることがある
  • 離婚の合意ができないと離婚できない

通常、離婚調停は、家庭裁判所の調停室で行われます。

まず、調停委員が、調停を申し立てた人を調停室に呼び、申立ての事情や離婚に関する主張を聴取します。

次に、申し立てられた人(相手方)を調停室に呼んで申立人と同じ内容を聴取します。

その後も、再び申立人や相手方を交互に呼んで相手の主張を伝え、それに対する主張を聴き取るということを繰り返しながら、夫婦の意見を整理し、互いに譲歩を促したり、調停委員会としての案を提示したりしながら、夫婦の合意形成を目指します。

夫婦だけの話し合いと異なり、家庭裁判所で調停委員を交えて話し合うことで、その場の感情に流されず落ち着いて話し合うことができ、離婚後のことを慎重に考えて主張するようになります。

また、調停で成立した離婚条件が離婚後に守られなかった場合、相手に履行を促したり、履行させたりする法的な手続きがあります。

一方で、通常、離婚調停を申し立ててから第1回の調停期日までに約1ヶ月かかり、その後も1ヶ月に1回程度のペースで調停が開催されるため、離婚までに時間を要することがあります。

また、離婚調停は、家庭裁判所の手続ではありますが、離婚するにはあくまで夫婦の合意が必要で、合意がないと離婚することはできません。

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離婚調停とは?期間と流れ、費用から弁護士の要否まで分かりやすく解説

審判離婚

審判離婚とは、家庭裁判所が審判で夫婦の離婚やその条件を決める方法です。

通常、離婚調停において離婚やその条件で夫婦の合意ができない場合、調停不成立で調停が終了します。

しかし、夫婦が離婚することに合意し、離婚条件についても概ね合意できているにも関わらず、細かい条件面などで折り合いがつかない、夫婦の一方の見栄や体裁が合意の妨げになっている、遠隔地に住む夫婦の一方が調停に出頭できないなどの場合に、家庭裁判所が審判で離婚を決定することがあります。

これが審判離婚(調停に代わる審判による離婚)です。

審判離婚の方法

審判離婚は、調停の進行や夫婦の意向を踏まえて家庭裁判所が判断する手続で、夫婦が申し立てることはできません。

家庭裁判所が調停に代わる審判をした場合、審判が確定した時点で離婚が成立します。

ただし、調停に代わる審判の告知から2週間以内に異議申立てがされると、審判は効力を失います。

異議申立てによって審判の効力が失われた後、調停は不成立の方向に進むことになります。

審判離婚の特徴

審判離婚の特徴は、離婚やその条件について概ね合意ができていて、本筋以外のところで調停を成立させられない事情がある場合に、家庭裁判所の判断で行う手続です。

通常、離婚調停が不成立で終了すると、離婚するには裁判(離婚訴訟)を起こすしかありませんが、離婚訴訟で離婚するには相当な時間、手間、費用がかかる上、精神的な負担も重くのしかかります。

審判離婚を活用することで、細かい争点はあったとしても、離婚訴訟に至ることなく離婚することができます。

関連記事

調停に代わる審判(審判離婚、284条審判)とは?異議申立書で失効?

裁判離婚

裁判離婚とは、家庭裁判所に離婚の裁判を提起して離婚する方法です。

家庭裁判所が法律に基づいて夫婦の離婚を判断する手続であり、離婚が認められるためには、法定離婚事由が必要になります。

民法第770条第1項では、以下のとおり法定離婚事由が定められています。

夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(民法第770条第1項)

裁判離婚の方法

裁判離婚というと、裁判官が離婚について判断するイメージを持たれがちですが、裁判が判断する判決離婚の他に、認諾離婚と和解離婚という方法もあります。

  • 判決離婚:裁判官が判決で離婚を認めるか否かや離婚条件を決める
  • 認諾離婚:被告が原告の請求を認諾(受け入れる)することで離婚する
  • 和解離婚:原告と被告が裁判手続の中で和解して離婚する

判決離婚では、家庭裁判所に離婚の裁判を提起して裁判官が判決を出し、離婚を認める判決が確定すると離婚が成立します。

認諾離婚では、離婚訴訟を起こされた人(被告)が訴訟を起こした人(原告)の主張を全面的に受け入れ(請求の認諾)、それが認諾調書に記載されることで離婚が成立します。

和解離婚では、離婚訴訟の手続の中で和解ができて、それが和解調書に記載されることで離婚が成立します。

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認諾離婚とは?請求の認諾の意味と和解離婚・判決離婚との違いを解説

裁判離婚の特徴

裁判離婚の特徴は、以下のとおりです。

  • 家庭裁判所が夫婦の離婚や離婚条件を判断する
  • 離婚が認められるには法定離婚事由が必要
  • 時間、手間、費用がかかる

裁判離婚の一番の特徴は、夫婦の離婚や離婚条件を家庭裁判所が判断することです。

離婚は、夫婦関係を解消する行為であり、本来は夫婦間の話し合いで決めるものですが、これを家庭裁判所という公的機関が判断するのです。

そのため、協議離婚や調停離婚のような柔軟性はなく、法定離婚事由(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、その他の事由)がないと離婚は認められません。

また、主張書面の作成、証拠資料の提出、期日への出頭、それらにかかる費用など、他の離婚方法に比べて時間・手間・費用がかかり、精神的負担感も大きくなります。

なお、弁護士に依頼する方法もありますが、離婚訴訟に精通した弁護士は限られており、事前調査なしに「弁護士なら誰でも大丈夫だろう。」と思って依頼した結果、思ったような結果が得られず、高額な費用だけを請求されて終わるケースが後を絶ちません。

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法定離婚事由とは?離婚裁判では離婚原因がないと離婚できない

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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