離婚届不受理申出とは?期間・期限、取下げは?勝手に提出を予防?

離婚届不受理申出 方法 取下げ

協議離婚は、夫婦が離婚やその条件に合意し、離婚届を市区町村役場に提出して受理されることで成立します。

しかし、夫婦で十分に話し合いをしないまま、婚姻相手には無断で離婚届を作成して提出してしまうケースが散見されます。

勝手に離婚届を提出されるのを防ぐには、あらかじめ市区町村役場に離婚届不受理申出をしておく方法があります。

離婚届不受理申出とは

離婚届不受理申出とは、婚姻相手が勝手に離婚届を提出するおそれがあるときに、離婚届が提出されても受理しないよう市区町村役場に申し出ておく手続きです。

あらかじめ離婚届不受理申出をしておけば、婚姻相手が離婚届を提出しても受理されず、不本意な離婚を未然に防ぐことができます。

離婚届は簡単に提出できる

離婚届は、必要事項を記載して市区町村役場に提出すれば、形式的な確認だけで簡単に受理されます。

夫婦の一方だけで提出することが認められている上、筆跡が夫婦のものかどうか確認されることもなく、押印も認印で足りるため、夫婦の一方が相手に無断で離婚届を提出すケースが後を立ちません。

夫婦の一方が独断で提出したとしても、夫婦間で離婚の合意ができていなかったとしても、離婚届が提出・受理された時点で離婚は成立し、法律上の効果が発生します。

つまり、夫婦の戸籍が別々になり(婚姻相手を筆頭者とする戸籍に入った人が婚姻前の戸籍に復籍する)、戸籍に離婚したことが記載され、婚姻によって夫婦間に生じた権利義務関係が消滅するのです。

離婚によって消滅する主な権利義務関係は、以下のとおりです。

  • 同居・協力・扶助義務(民法752条)
  • 成年擬制(民法753条)
  • 夫婦間の契約の取消権(民法754条)
  • 貞操義務
  • 夫婦財産契約(民法755~759条)
  • 婚姻費用の分担(民法760条)
  • 配偶者の相続権(民法890条)

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離婚届不受理申出を検討するケース

離婚について夫婦で話し合うことができ、離婚やその条件に付いて合意した上で離婚届を提出することを事前に確認できているときは、勝手に離婚届を提出されてしまう心配はあまりなく、離婚届不受理申出をする必要性も低いでしょう。

一方で、以下のように、相手が無断で離婚届を提出してしまう可能性があるときは、離婚届不受理申出を検討する必要性が高くなります。

  • 離婚やその条件を夫婦で十分に話し合う前に離婚届を作成した
  • 作成した離婚届を相手が保管している
  • 相手が離婚を急いでいる
  • 離婚届作成後に離婚意思がなくなった

このほか、相手の言動に不安があるときは、念のために離婚届不受理申出をしておくことも考えられます。

離婚届不受理申出の方法

離婚届不受理申出は、離婚届不受理申出書に必要事項を記入し、市区町村役場の担当窓口に提出する方法により行います。

離婚届不受理申出ができる人

夫または妻です。

親族であっても夫婦の代わりに申出をすることはできません。

申出に必要な資料等

  • 離婚届不受理申出書
  • 印鑑(認印)
  • 顔写真付きの本人確認資料(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど)

本人確認資料については、顔写真付きの資料がない場合、顔写真なしの資料を複数提示することを求められます。

離婚届不受理申出書の入手方法

離婚届不受理申出書は、本籍地のある市区町村役場の窓口で交付してもらうか、役場のウェブサイトからダウンロードして入手します。

地域によって書式が異なるため、本籍のある役場の窓口またはウェブサイトで入手してください。

地域によってはウェブサイトに書式を掲載していないこともあります。

離婚届不受理申出書の作成

  • 申出日:申出を行う日を記載
  • 宛先:申出人の本籍地の市区町村長の氏名を記載
  • 申出人の表示等:申出人の氏名、生年月日、住所、本籍、筆頭者氏名、相手(夫または妻)の氏名、生年月日、住所、本籍、筆頭者氏名を記載
  • その他:申出人が外国籍のときは、相手の氏名を記載
  • 申出人署名押印:署名押印する
  • 申出人連絡先:日中に連絡がつく電話番号を記載

なお、申出書の作成に当たっては、珠洲市の記載例が参考になります。

離婚届不受理申出書 記載例

引用:珠洲市

申出先

申出を行う人の本籍がある市区町村役場の戸籍担当課(名称は市区町村によって異なります)です。

地域によって市民生活課や市民課などが担当することもあります。

本籍地以外の市区町村役場に申出をすることもできますが、申出書などは本籍のある役場に送られることになります。

注意したいのは、「離婚届不受理申出の効力が生じるのは、本籍がある市区町村役場で申出が受理されてから」ということです。

つまり、本籍地以外の役場に申出を行って受理されても、その時点では申出の効力は生じず、本籍がある役場に申出書が届いて受理されてからなのです。

申出書を受理した役場から本籍のある役場へ郵送するのに数日を要するため、その間に相手が提出した離婚届は受理されることになります。

そのため、相手が今にでも離婚届を提出する可能性があるときは、直接、本籍のある役場まで行って申出を行わなければなりません。

郵送による申出を受けつけている地域もありますが、事前確認が必要ですし、申出書に不備があると受理されないため、急を要するときは望ましい方法とは言えません。

手数料

手数料はかかりません。

離婚届不受理申出の有効期限

以前は、本籍のある市区町村役場に受理されてから6ヶ月という有効期限が設けられていました。

しかし、法改正により申出期間の制限が廃止され、平成20年5月1日以降の申出については期限がなくなっています。

そのため、一度離婚届不受理申出すると、取り下げるまでは有効とされる取扱いとなっています。

離婚届不受理申出の取下げ

離婚届不受理申出は、申出が受理されると、取り下げをしない限りいつまでも有効なままです。

離婚届不受理申出をした後、夫婦で離婚やその条件について合意ができ、離婚届の不受理が不要になったときは、申出人が申出を取り下げることになります。

ただし、離婚届不受理申出をした人が離婚届を提出するときは、申出は取り下げるものとみなされて離婚届が受理される取り扱いとなっています。

離婚届不受理申出の取下げ方法

離婚届不受理申出をした市区町村役場へ行き、申出の取下げ用紙に必要事項を記入して窓口に提出します。

取下げ用紙に押印するための認印と、窓口で提示するための本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)が必要です。

離婚届が受理された場合の対応

離婚届が受理されて離婚が成立すると、市区町村役場で離婚を取り消すことはできません。

離婚を取り消したいときは、家庭裁判所に離婚無効の調停を申し立てる必要があります。

離婚無効の調停では、申し立てた人(離婚届を勝手に出された人)が、離婚届が提出された時点で離婚意思がなかったことを立証しなければならない上、相手方(離婚届を勝手に出した人)が「夫婦で離婚の合意ができたので離婚届を提出した。」と主張すると調停が不成立で終了します。

調停不成立後に離婚無効を主張するには、家庭裁判所に離婚無効の訴訟を起こして争わう必要がありますが、訴訟には相当な時間、手間、費用がかかり、離婚意思がなかったことを立証できないと無効判決を得ることはできません。

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離婚届不受理申出以外の対応

離婚届が勝手に提出されるのを阻止する方法は、離婚届不受理申出だけです。

しかし、離婚届が受理されて離婚が成立した後、離婚無効確認調停や訴訟で離婚を無効にするための準備をすることはできます。

離婚無効の準備としては、離婚意思がないことを記載した書面を内容証明と配達証明(本人限定受取)で婚姻相手に郵送する方法や、同書面に公証役場で確定日付を付与してもらう方法があります。

離婚届不受理申出ができない事情がある場合は、試してみてください。

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離婚届を勝手に提出することの問題

夫婦の一方に無断で離婚届を提出すると、以下の犯罪に問われる可能性があります。

  • 有印私文書偽造罪(刑法159条)
  • 偽造私文書行使罪(刑法161条)
  • 公正証書原本不実記載等罪(刑法157条)
  • 偽造公文書行使罪・不実記録電磁的公正証書原本供用罪

有印私文書偽造罪(刑法159条)

離婚届には夫婦の署名押印する必要があります。

離婚したい相手の署名を偽造して離婚届を提出すると、有印私文書偽造罪に問われ、3ヶ月以上5年以下の懲役となることがあります。

偽造私文書行使罪(刑法161条)

離婚届を偽造して市区町村役場へ提出すると、偽造私文書行使罪に問われ、3ヶ月以上5年以下の懲役となることがあります。

公正証書原本不実記載等罪(刑法157条)

夫婦の署名押印など離婚届を偽造することで、市区町村役場で保管される戸籍簿に事実と異なる記載をさせると、公正証書原本不実記載等罪に問われ、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となることがあります。

不実記録電磁的公正証書原本供用罪(刑法158条)

市区町村役場で保管される戸籍簿に事実と異なる記載をさせ、その内容が行使または供用される状態となることで、不実記録電磁的公正証書原本供用罪に問われ、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となることがあります。

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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