再婚したい人が知っておくべき戸籍や子供に関する法律と養育費のこと

再婚
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離婚後、良縁に恵まれて再婚したいと考えるようになった場合、離婚から再婚までの期間のこと、戸籍のこと、子どものこと、養子縁組のこと、養育費のことなど、初婚時とは異なることに留意する必要があります。

この記事では、再婚を考えたときに留意すべき制度や手続きについて解説します。

再婚の手続き

婚姻は、民法の第4編「親族」の第2章「婚姻」に規定された契約です。

初婚でも再婚でも婚姻であることに違いはなく、再婚する場合も、民法に規定された婚姻の条件を満たす必要があります。

  • 婚姻適齢(男は18歳、女は16歳):民法第731条
  • 重婚の禁止:民法第732条
  • 再婚禁止期間:民法第733条
  • 近親婚の禁止:民法第734~736条

婚姻適齢、重婚の禁止、近親婚の禁止については初婚の場合と同じですが、婚姻歴のある女性が再婚する場合、これらに加えて再婚禁止期間という条件を満たさなければなりません。

再婚禁止期間とは

再婚禁止期間とは、民法第733条に規定された、女性が「前婚の解消または取消しの日から起算して100日」を経過しないと再婚できないという規定です。

女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合

二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

(民法第733条)

再婚禁止期間の目的

女性にだけ再婚禁止期間が規定されているのは、父子関係を確定することで、父子関係に関する紛争を未然に防止するためです。

母子関係は分娩の事実から明らかになりますが、父子関係については確定させることができないため、以下の条件を満たす子どもは夫の子と推定するという嫡出推定制度が設けられています(民法第772条)。

  • 婚姻関係にある妻が婚姻中に懐胎した
  • 婚姻成立日から200日を経過した後に生まれた
  • 離婚成立日または婚姻取消しの日から300日以内に生まれた

女性が離婚後すぐに再婚できることにすると、嫡出推定が重なる期間が100日間(前婚の解消または取消しの日から100日間)生じます。

結果、嫡出推定が重なる100日間に女性から生まれた子どもの父親が、前婚の男性なのか後婚の男性なのか分からなくなってしまいます。

そこで、前婚の解消または取消しの日から100日間を再婚禁止期間としているのです。

再婚禁止期間を気にせず再婚できる場合

以下の3つの条件のいずれかに当てはまる場合は、いつでも再婚することができます。

  1. 婚姻の解消または取消しの日から100日が経過した
  2. 前婚の解消または取消しの時に妊娠していなかった
  3. 前婚の解消または取消しの後に出産した

2.または3.の条件を満たすことを証明するには、「前婚の解消または取消しの日」を医師に伝えた上で診断を受け、医師に「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」を作成してもらって、婚姻届の提出時に添付する必要があります。

なお、早く再婚するために、実際の「前婚の解消または取消しの日」とは異なる日を伝えて医師に証明書を作成させる人がいますが、証明書を作成してもらうことはできても、婚姻届は受理されません。

そのため、「離婚時に妊娠していない」または「離婚後に出産した」事実があり、一日も早く再婚したい場合は、離婚後または出産後すぐ医師の診断を受けて証明書を入手しておくことが大切です。

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再婚禁止期間とは?女性だけ?例外と違憲訴訟で100日になった理由

婚姻届の提出

再婚時にも、初婚時と同じく婚姻届に必要な事項を記入し、証人2人の署名押印を得た上で市区町村役場に提出します。

婚姻の届出を行う男女間に婚姻意思が存在している必要があることも、初婚時と同じです。

不備不足がなければ婚姻届が受理され、その日に婚姻が成立します。

婚姻届の書き方については、関連記事で詳しく解説しています。

初婚時と再婚時で記載内容に大きな差はないので、正しい婚姻届の書き方が知りたい人は、読んでみてください。

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離婚届のダウンロードと書き方は?コンビニ印刷と書き方の見本は?

戸籍の変動

婚姻届が受理されると再婚が成立し、夫または妻を筆頭者とする新しい戸籍が作られて夫婦が同じ戸籍に入り、同じ苗字(婚姻届の「婚姻後の夫婦の氏・新しい本籍」欄に記載した夫または妻の氏を名乗り、)を名乗ることになります。

戸籍の夫婦それぞれの身分事項欄には、婚姻日、配偶者氏名、従前戸籍が記載されます。

再婚相手を筆頭者とする戸籍に入った場合、婚姻前の戸籍が単身戸籍であれば戸籍が除籍され、残っている人がいれば本人が除籍されるだけで戸籍は残ります。

前者の場合、再婚相手と離婚しても元の戸籍に戻ることができず、新しく作成される戸籍に入ることになります。

離婚した相手と再婚する場合

日本では、離婚や婚姻に回数制限はなく、離婚した相手と再婚することも認められています。

婚姻届に必要事項を記載して市区町村役場へ提出すれば、受理されて婚姻が成立します。

ただし、同じ人との婚姻であっても、身分事項欄にはこれまでにした婚姻と離婚に関する事項が全て記載されます。

子どもの戸籍と再婚相手との養子縁組

子連れ再婚をする場合は、再婚する前に子供の戸籍や苗字について考えておく必要があります。

再婚することで、夫婦は同じ戸籍に入って苗字も同じになりますが、そのままでは子どもの戸籍や苗字は変動しません。

そのため、子連れ再婚して再婚相手を筆頭者とする戸籍に入った場合、親子で戸籍や苗字が異なるという事態が生じます。

また、再婚相手と子どもを養子縁組させるかどうかも考えておかなければなりません。

再婚したら必ず養子縁組をしなければならないというわけではありませんが、再婚しただけでは再婚相手は子どもの扶養義務を負わず、子どもが再婚相手の扶養や健康保険に入れないことがあるなどデメリットがあるため、子どもの気持ちを尊重した慎重な選択が求められます。

再婚相手と子どもの養子縁組

養子縁組とは、血縁関係のない人同士の間に法律上の親子関係を設定する制度です。

養子の身分は、民法第809条に規定されています。

養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

(民法第809条)

嫡出子とは、婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもです。

つまり、養子縁組をした子どもと再婚相手の間には、血縁のある親子関係と同じ権利義務関係が発生します。

扶養義務 互いに相手の生活保障をする義務

養親子間の扶養義務は、自分と同じ水準の生活を相手にも保障する「生活保持義務」

法定相続人 互いに相手の法定相続人となる

順位や相続分は実親子と同じ

養子縁組の種類と再婚時の養子縁組

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があり、戸籍の記載や要件などが大きく異なります。

普通養子縁組 特別養子縁組
実親との関係 維持

(子供は養親と実親の両方との親子関係を持つ)

断絶
戸籍記載 養子・養女 長男・長女

(実子と同じ)

子の年齢 制限なし 原則として6歳未満

(例外的に8歳未満)

要件
  • 養親が成年に達している
  • 養子が養親の尊属または年長者でない
  • 後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可を得る
  • 既婚者が未成年者を養子にする場合、夫婦で養親になる
  • 養親または養子となる人が既婚者の場合、配偶者の同意を得る
  • 養親または養子となる人に養親または養子になる意思がある
  • 養子が15歳未満の場合、法定代理人が縁組の承諾する
  • 養子となる人が未成年者の場合、家庭裁判所の許可を得る
  • 養子縁組の届出をする
  • 子の利益のために特に必要がある
  • 家庭裁判所の許可を得る
  • 夫婦一緒に養親になる
  • 養親となる夫婦の一方または両方が25歳以上かつ夫婦の一方が20歳以上
  • 養子となる人の実の両親親の同意がある
  • 特別養子縁組を請求してから6ヶ月間以上の監護実績がある
離縁 原則として不可

連れ子再婚をして子どもと再婚相手を養子縁組させる場合、ほとんどは普通養子縁組です。

特別養子縁組は、「子の利益のために特に必要がある」場合に家庭裁判所が縁組を認める手続きです。

特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

(民法第817条の7)

例えば、実親が子どもを虐待している、経済的事情などで子どもを育てられる状況にない、育てる意思がなく子どもを捨てたなどの事情があり、実親の元では健全な成長を遂げることが困難な場合に、別の家庭で実子同様に養育してもらえるようにするための制度が特別養子縁組です。

そのため、連れ子再婚で特別養子縁組を申し立てるケースはほぼなく、申立てをしても認められる見込みはほぼありません。

養子縁組と養育費

養子縁組が成立すると、養親(再婚相手)が子どもの扶養義務は第一次的に負うことになり、原則として、養親と監護親で子どもを扶養することになります。

したがって、非監護親から養育費が支払われていた場合、養育費減額調停または審判によって減額される可能性があります。

なお、非監護親の扶養義務が消滅するわけではなく、離婚に伴う養子縁組の解消(離縁)や養親の経済的困窮などの事情があれば、再び子どもを扶養する義務を負うことになります。

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養子縁組とは?普通養子縁組と特別養子縁組の条件の違いを分かりやすく解説

子どもを再婚後の戸籍に入れる方法

子どもを再婚後の戸籍に入れる方法は、大きく3つあります。

子どもと再婚相手を養子縁組させる

子どもと再婚相手が普通養子縁組をすると、両者の間に法律上の親子関係が設定され、子どもは再婚相手(養親)と同じ戸籍に入って苗字も同じになります。

普通養子縁組は、養子縁組届に必要事項を記入して市区町村役場に提出し、受理されることで成立します。

届出人
  • 子供が15歳未満:縁組の承諾をした法定代理人(親権者や未成年後見人など)
  • 子供が15歳以上:子ども本人
届出先 「養親または養子となる人の本籍地」または「所在地の市区町村役場」
必要書類
  • 養子縁組届:1通
  • 届出人の印鑑
  • 届出人の本人確認書類

【本籍地以外に届け出る場合】

  • 養親及び養子となる人の戸籍謄本(全部事項証明書):1通
費用 なし

子の氏の変更と入籍届(養子縁組させない場合)

子連れ再婚して相手を筆頭者とする戸籍に入り、子どもと再婚相手を養子縁組させない場合、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」審判を申し立てて許可の審判を得た上で、市区町村役場に入籍届をする方法により、子どもを再婚後の戸籍に入れることができます。

子の氏の変更許可
申立人
  • 子供が15歳未満:子供の法定代理人
  • 子供が15歳以上:子供本人
申立先 子供の住所地を管轄する家庭裁判所
必要書類
  • 申立書:1通
  • 子供の戸籍謄本(全部事項証明書):1通(父母の離婚や親権者の記載があるもの)
  • 入籍予定の戸籍の謄本:1通(離婚の記載があるもの)
  • 同意書:1通(入籍予定の戸籍に父母が異なる15歳以上の人がいる場合のみ)
  • 印鑑:認印
  • 本人確認書類
費用
  • 収入印紙:800円分(子供1人につき)
  • 郵便切手:各家庭裁判所が指定する金額と枚数

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子の氏の変更許可審判とは?申立書の書き方と郵送方法、期間は?

子の氏の変更許可審判は、子供の苗字を変更することを許可する手続きであり、実際に変更するには入籍届を行わなければなりません。

入籍届
届出人
  • 子供が15歳未満:子供の法定代理人
  • 子供が15歳以上:子供本人
届出先 子どもの本籍地または届出人の所在地の市区町村役場
必要書類
  • 入籍届:1通
  • 審判書謄本:1通
  • 子供が入籍予定の戸籍の謄本(全部事項証明書):1通

【本籍地以外に届け出る場合】

  • 子供の戸籍謄本(全部事項証明書):1通
費用 なし

子供を再婚後の戸籍に入れないという選択

子供が苗字を変えたくないと主張した場合などは、再婚後の戸籍に子どもを入れない(苗字を変更しない)という選択もあり得ます。

すでに書いたとおり、再婚しただけでは子どもの戸籍や苗字は変動しないので、特に手続きをする必要はありません。

元配偶者に再婚を知られるか

婚姻中は夫婦の戸籍を自由に取得できることから、離婚後も「元配偶者に戸籍を見られて再婚したことを知られるのではないか。」と心配する人がいます。

結論から言うと、元夫婦でも離婚すると他人同士になるため、原則として、元配偶者があなたの戸籍を確認することはできず、戸籍から再婚の事実を知ることはできません。

ただし例外として、「自分の権利の行使や義務の履行のために必要」、「公的機関へ提出するために必要」、「その他、正当な事由がある」という事情があれば、元配偶者が戸籍謄本を取得できることがあります。

例えば、元夫が養育費請求(減額)調停申立ての添付資料として元妻の戸籍謄本を請求した場合、調停の添付資料とすることを明示し、婚姻中の戸籍を添付すれば、「正当な理由」として請求が認められることがあります。

また、弁護士などの専門職は、業務遂行に必要があれば戸籍謄本を請求することが認められています((戸籍法第10条の3第1項))。

そのため、元配偶者が養育費請求(減額)調停のために弁護士を雇った場合、弁護士に戸籍謄本を取得されてしまいます。

さらに、元配偶者は、子どもの戸籍抄本を請求して取得することができるため、子どもの戸籍の変動を見て再婚したことを知ることができます。

例えば、子どもと再婚相手の養子縁組や、子の氏の変更許可審判と入籍届で子どもを再婚後の戸籍に入れた場合、その旨が子供の戸籍に記載されるため、元配偶者が子どもの戸籍を見て再婚を知ってしまいます。

子供の戸籍から再婚の事実を知られないようにするには、子供を再婚後の戸籍に移さない方法がありますが、同居する親子の戸籍や苗字が別々になるという不都合が生じるため、慎重に検討する必要があります。

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元夫や元妻の戸籍謄本を離婚後に取得できる?子供の戸籍は?

離婚後の手続き

再婚したい人が知っておくべき内容について解説しました。

離婚後は、この記事で解説した以外にもたくさんのやるべきことがあります。

期限が決まっているものもあるため、忘れずに手続きができるように準備しておくことが大切です。

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離婚後の手続き一覧!子供の扶養など離婚後にやることのリストと順番

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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