再婚禁止期間とは?女性だけ?例外と違憲訴訟で100日になった理由

民法は、女性についてのみ「離婚をした日から再婚することができない期間」を定めています。

女性の「再婚禁止期間」と呼ばれる期間です。

2015年12月、最高裁判所大法廷が、再婚禁止期間の一部を違憲とする判決を出したことで社会的に注目されました。

しかし、女性の再婚禁止期間の内容や期間、規定の理由について理解している人は少ないのが実情です。

この記事では、再婚禁止期間とはどのような制度か、なぜ女性だけ禁止期間があるのか、例外はあるのか、最高裁で期間が100日に単修腐れた理由について解説します。

再婚禁止期間とは

再婚禁止期間とは、民法に規定された、離婚した女性が再婚することのできない期間のことです。

民法第733条では、以下のとおり女性についての再婚禁止期間が定められています。

1女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

2前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

  1. 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
  2. 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

(民法第733条)

民法に再婚禁止期間が定められているのは女性のみで、男性については再婚に制限はありません。

男性は、極端な話をすれば、離婚届が受理された当日に再婚することも可能です。

女性の再婚が禁止される期間の変遷

現在の民法で定められている再婚禁止期間は、「前婚の解消(離婚)または取消しの日から起算して100日」です。

以前は、「前婚の解消または取消しの日から6ヶ月」と定められていました。

しかし、2015年12月16日、最高裁判所大法廷が「再婚禁止期間のうち、100日を超える部分について違憲」という旨の判決を下したことを受け、2016年6月7日に民法が改正され、再婚禁止期間が100日に短縮されました。

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女性だけに再婚禁止期間が定められている理由

女性だけに再婚禁止期間が定められている理由を考えるには、まず、嫡出推定という民法の規定を理解しておく必要があります。

嫡出推定とは、妻が婚姻期間中に妊娠した子どもについて、法律上、夫の子どもであると推定することです。

「婚姻の成立から200日が経過した後」または「離婚後300日以内」に生まれた子どもは、婚姻中に妊娠したものとされ、嫡出子(婚姻中の夫婦の間に生まれた子ども)として戸籍に記載されることになります。

民法第772条では、嫡出推定について以下のとおり定められています。

  1. 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
  2. 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

(民法第772条)

嫡出推定は、扶養義務のある父親を早期に確定させることが子どもの身分関係の安定につながり、子どもの利益になるという考えに基づいて規定されています。

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再婚禁止期間が定められている理由

女性が離婚後すぐ再婚できることすると、嫡出推定が重なる期間が100日間生じることになり、生まれた子どもの父親が前婚の男性か後婚の男性か分からなくなるなる可能性があります。

例えば、女性が離婚後すぐ別の男性と再婚し、再婚後すぐ妊娠が発覚した場合について考えてみましょう。

生まれてくる子供は、「婚姻成立の日から200日を経過した後(中略)子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」という規定により、再婚相手の子どもと推定されます。

一方で、「婚姻の解消若しくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に解体したものと推定する。」という規定により、離婚した夫の子どもとも推定されます。

その結果、子どもの父親が離婚した夫なのか再婚相手なのかはっきりせず、子どもの扶養義務を負う人が決まらず、子どもの身分関係が不安定なままになります。

以上の事情から、女性についてのみ再婚禁止期間が定められているのです。

DNA鑑定と再婚禁止期間

「医療・科学技術の進歩によってDNA鑑定で父子関係を特定できるようになった現代において、再婚禁止期間を設けておく必要があるのか」という指摘があります。

そのため、今後の民法改正において、再婚禁止期間そのものが削除される可能性も否定できません。

再婚禁止期間の例外

再婚禁止期間の目的は、父子関係を確定させ、扶養義務を負う人を決めるとともに、子供の身分関係を安定させることです。

したがって、子どもの父親が明確な場合は、例外的に、再婚禁止期間を待たずに再婚することができます。

再婚禁止期間を待たずに再婚できるのは、以下のような場合です。

再婚禁止期間の例外
  • 離婚する前に夫以外の男性の子どもを妊娠し、離婚後にその男性と婚姻した
  • 離婚した夫と再び婚姻した
  • 夫が3年以上行方不明になっている(家庭裁判所で失踪宣告の審判を受けた場合、生死不分明で離婚した場合など)
  • 閉経済
  • 妊娠不能
  • 前婚の解消または取消しのときに妊娠していなかった
  • 前婚の解消または取消しの後に出産した

前婚の解消または取消しの後に出産した場合、出産した日から再婚できます。

再婚禁止期間を待たずに再婚するには、医師の診断書が必要

再婚禁止期間を待たずに再婚する女性が、婚姻届を市区町村役場に提出して受理されるには、医師が診断した証明書(民法第733条第2項に該当する旨の証明書)を添付する必要があります。

法務省の通達では、証明書は、本人の人体事項、女性が申し出た離婚日、離婚日以降の一定の時期に妊娠していないことについて医師が診断して記載するものとされています。

産婦人科を受診して医師に事情を説明し、離婚した日を伝えて作成してもらいます。

離婚日については、離婚の方法によって異なります。

離婚方法ごとの離婚日
  • 協議離婚:離婚届を提出して受理された日
  • 調停離婚:夫婦関係調整(離婚)調停が成立した日(市区町村役場に届け出た日ではない)
  • 裁判離婚:離婚の裁判が確定した日(裁判をした日ではない)

離婚した日を誤って伝えると、婚姻届を市区町村役場に提出しても受理されない可能性があるので、注意が必要です。

女性の再婚禁止期間の問題

再婚禁止期間は、以前から憲法に違反するのではないかという指摘がされています。

具体的には、女性にだけ再婚禁止期間を規定していることが、「法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反する。」、「離婚や婚姻に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して定められなければならないとする憲法24条2項に違反する。」と指摘されているのです。

いずれも、女性だけに再婚禁止期間を課すことが、合理的な理由を欠いて女性差別に当たるという考えに基づく指摘です。

この点、2005年に最高裁判所が「再婚禁止期間には嫡出推定の重複を避けるという合理的な理由があり、憲法第14条(法の下の平等)に反しない。」と判断しています。

その後も、「再婚禁止期間を100日に短縮すべき。」、「生理学的検査で父子関係を判断すれば足りる。」などの意見が出されています。

2006年には、法務大臣の諮問機関である法制審議会が「再婚禁止期間を100日に短縮する」という民法改正案を答申していますが、国会議員や世論の反対が根強く、民法改正案は見送られていました。

最高裁判所大法廷の再婚禁止期間違憲訴訟の判決

上記のような状況の中、2015年12月16日、最高裁判所大法廷が、「再婚禁止期間違憲訴訟」について、再婚禁止期間の一部を違憲とする判決を下しました。

再婚禁止期間違憲判決までの経緯

再婚禁止期間違憲訴訟は、2011年、岡山県在住の女性が、「女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定が、憲法第14条(法の下の平等)に違反する。」として、国に損害賠償を求める民事裁判を提起したことで開始します。

原告(女性)は、「再婚禁止期間は女性を差別した規定で憲法第14条(法の下の平等)に違反している。国会が法改正をしないのは違法。」と主張し、対する被告(国)は、「差別ではなく、国会が民法を改正しないことに違法性はない。」と主張して争われました。

第1審の岡山地方裁判所は、「立法の趣旨には合理性がある」として提訴を棄却し、第2審の広島高等裁判所も、第一審の判決を支持して控訴を棄却しました。

しかし、2015年12月16日、最高裁判所大法廷は、「再婚禁止期間の100日を超える部分は憲法に違反している。」という一部違憲判決を示しました。

「廃止」ではなく「100日を超える部分が憲法に違反」

最高裁判所は、嫡出推定の規定を考慮しつつ、100日間の再婚禁止期間があれば嫡出推定の重複を避けることができるとして、100日を超える部分のみ憲法違反だと判断しています。

一方で、再婚禁止期間が規定された趣旨や、再婚禁止期間を廃止すると嫡出推定の重複が起こりうることを考慮し、100日の再婚禁止期間は合理的であるとしています。

再婚禁止期間違憲判決後の民法改正

最高裁判所大法廷の再婚禁止期間違憲判決を受け、2016年3月8日、「再婚禁止期間の短縮等に関する民法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同年5月4日に衆議院本会議、6月1日に参議院本会議において民法改正案が可決されて、6月7日に交布・施行されました。

民法改正の大きなポイントは、以下の2つです。

女性の再婚禁止期間が「6ヶ月」から「100日」に短縮された

再婚禁止期間が短縮されたことで、女性の再婚の自由の制限が軽くなります。

また、離婚後300日以内に生まれた子どもは離婚した相手の子ども、300日以降に生まれた子どもは再婚相手との子どもと推定されるようになります。

再婚禁止期間の例外が変更された

改正前の民法では、再婚禁止期間の例外について、離婚前から妊娠していたときは、出産した日以降は再婚できるという旨を定めていました。

改正後の民法では、「離婚後に出産した日以降」に加えて「離婚時に妊娠していない」についても再婚禁止期間の例外として明記しています。

再婚禁止期間の今後について

再婚禁止期間違憲訴訟の判決が出た後も、再婚禁止期間を廃止すべきという意見は根強く残っています。

今後、再婚禁止期間が違憲だと主張する裁判が再び提起され、2015年12月16日の最高裁大法廷判決とは異なる判断が下される可能性もあります。

状況に変更があった場合は、随時追記します。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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