性格の不一致とは?性格の不一致で離婚できる?慰謝料請求は?

性格の不一致

性格の不一致は、多くの夫婦が離婚理由として挙げるものです。

民法に規定された離婚事由に性格の不一致はなく、裁判離婚で性格の不一致だけを主張しても離婚は認められませんが、離婚する夫婦の多くが性格の不一致を主張しています。

性格の不一致とは

性格の不一致とは、法定離婚事由に当てはまる事情はないが、離婚して婚姻関係を解消したい場合に主張される離婚事由の一つです。

字義通り「性格が合わない」ということだけでなく、「価値観が違う」、「一緒にいて楽しくない」、「尊敬できない」などを指して用いられることもあり、その意味するところは夫婦によって異なります。

そのため、性格の不一致を一律に定義することは困難です。

そして、一律な定義が困難であるために、多くの夫婦が自分なりの離婚理由を性格の不一致として主張し、その意味が広く捉えられるようになっています。

性格の不一致の具体例

実務上、性格の不一致を離婚理由とする夫婦に具体的な内容を聴取すると、以下のような内容が語られることが多いものです。

  • 生活設計、家事育児分担、子どもの教育方針など夫婦間で意見が合わない
  • 会話や外出など夫婦で何をしても楽しくない
  • 身体の相性が悪い
  • 金銭感覚や生活水準が合わない
  • 配偶者が親の言いなりで夫婦では何も決められない
  • 配偶者から大切にされていないと感じる
  • 配偶者と同じ空間にいるだけでストレスが溜まる
  • 配偶者のことが尊敬できない
  • 互いに相手を避けるようになった

性格の不一致を理由に離婚したいと考える夫婦の特徴として、不貞など夫婦関係を決定的に破壊する原因が客観的に認められない傾向を挙げることができます。

つまり、婚姻生活における配偶者の言動や態度、夫婦間のすれ違いが積もり積もって離婚したいと思うようになっていることが多いのです。

夫婦とはいえ他人同士である以上、性格が合わないのは当然です。

通常は、配偶者の欠点に不満を抱きながら、尊敬できるところや長所にも目を向け、折り合いをつけながら婚姻生活を継続しますが、不満が上回って配偶者との生活に居心地の悪さを感じると、性格の不一致として離婚を主張しやすい傾向があります。

不満が積もり積もっている分、性格の不一致を理由として離婚を主張する配偶者を説得するのは困難ですが、明確な理由が示されないため、離婚を突き付けられた配偶者も離婚に応じると言いにくいことが多いものです。

性格の不一致で離婚したいと考える夫婦の数

日本では、離婚全体の約90%が協議離婚であり、離婚届には離婚原因を記載する欄が設けられていないため、離婚原因の全体像を把握することは困難です。

一方で、性格の不一致を動機として家庭裁判所に申し立てられた婚姻関係事件数は、最高裁判所が公表している司法統計で知ることができます。

申立ての動機申立人
性格が合わない11,030件18,846件
異性関係2,547件7,987件
暴力を振るう1,500件10,311件
酒を飲み過ぎる435件2,964件
性的不調和2,316件3,500件
浪費する2,218件5,000件
病気705件890件
総数17,918件47,807件

※婚姻関係事件:夫婦関係調整(離婚・円満)、同居協力扶助、婚姻費用分担事件の合計

※申立ての動機:申立人が挙げた主な動機を3つまで集計

出典:裁判所|平成29年度司法統計年報|婚姻関係事件数―申立て動機別

申立て総数65,735件のうち29,876件が性格の不一致であり、約45%に上ります。

家庭裁判所の事件に限定した数値であり、実際は上記件数の何倍もの人が性格の不一致を理由として協議離婚していると考えられますが、離婚動機の大まかな傾向把握のため掲載しました。

性格の不一致と離婚できるか

性格の不一致を理由として離婚できるか否かは、離婚の方法や夫婦の状況などによって異なります。

以下、離婚の方法ごとに解説します。

性格の不一致と協議離婚

協議離婚では、理由を問わず、夫婦が合意すれば離婚することができます。

性格の不一致を理由に離婚したい旨を伝え、配偶者が了解すれば、離婚届を市区町村役場に提出して受理されることで協議離婚が成立します。

協議離婚の注意点

協議離婚で注意したいのは、性格の不一致の内容を具体的に説明しないと、配偶者に理解されなかったり誤解されたりすることです。

例えば、「あなたとは性格が合わないから離婚したい。」とだけ伝えても、配偶者にはあなたが離婚した理由は何ら伝わりません。

それどころか、「理由も告げず離婚したいと言い出すなんて、浮気しているのではないか。」などと誤解されるリスクがあります。

そのため、離婚を決意した事情をできる限り詳しく言語化し、配偶者に伝える必要があります。

性格の不一致と調停離婚

夫婦の協議で離婚できない場合や協議ができない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。

離婚調停で離婚するには、協議離婚と同じく夫婦が離婚に合意しなければなりませんが、調停委員会という第三者が離婚協議に参加することで、夫婦だけで話し合うよりも冷静に離婚について考え、主張しやすくなります。

ただし、離婚調停への出頭は任意であり、不出頭でも出頭を強制する手段はありません。

また、配偶者が離婚に応じない意向を示すと、協議離婚と同じく離婚することはできません。

調停離婚の注意点

調停離婚では、配偶者に加えて調停委員にも離婚したい理由を具体的に伝えなければなりません。

調停委員は、建前上は、中立の立場で夫婦の主張を聴取することになっていますが、実際のところ、調停委員自身の生い立ちや生活史に根差した価値観や思想に基づいて主張を聴取し、助言をしてきます。

性格の不一致で離婚したいと主張すると、「イマドキの若い者は我慢が足りん」と批判されたり、夫婦が離婚に合意しているにも関わらず復縁を促されたりすることがあります。

そのため、離婚を決意するに至った経緯について、調停委員が共感できないまでも理解できるように説明しなければなりません。

「5W1H(Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、 How(どのように))」を意識して、不満やストレスを抱いた場面を具体的に説明することが大切です。

調停委員が理解しにくい場合は、いくつかの場面を説明すると理解してもらいやすくなります。

性格の不一致と裁判離婚

協議離婚でも調停離婚でも離婚やそれに伴う諸条件について夫婦の合意ができなかった場合、訴訟で離婚を目指すことになります。

しかし、法定離婚事由には性格の不一致という事由はなく、性格の不一致だけを主張しても訴訟で離婚が認められません。

性格の不一致を離婚理由として訴訟で離婚するには、法定離婚事由に性格の不一致を関連づけて主張するか、夫婦関係が破綻していることを明らかにする必要があります。

法定離婚事由に性格の不一致を関連づけて主張する

法定離婚事由は、以下の5つです。

夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(民法第770条第1項)

性格の不一致だけでは離婚が認められませんが、不貞や悪意の遺棄などに関連づけることで離婚が認められることがあります。

ただし、法定離婚事由が存在することが前提となるため、精確の不一致で離婚したいと考えた人にとってはハードルが高いことが多いものです。

夫婦関係の破綻を明らかにする

日本の民法では、離婚について破綻主義が採用されています。

破綻主義とは、夫婦の共同生活が破たんして円満回復の見込みがないことが客観的に明らかな場合に、夫婦の有責性の有無を問わず裁判で離婚を認める立場のことです。

離婚を決意したきっかけが性格の不一致であっても、夫婦関係の破綻が認定されれば離婚が認められます。

判例上、夫婦関係の破綻が認定されやすい傾向にあるのは、夫婦が長期にわたって別居を継続し、夫婦間に共同生活関係がないことが客観的に明らかな場合です。

例えば、性格の不一致が原因で夫婦が別居してから10年が経過し、その間、会うことも連絡することもなく夫婦の実態が失われているような場合、破綻が認められます。

一方で、別居が長期間であっても、夫婦が互いに連絡を取り合って定期的に会い、婚姻費用の支払いや面会交流が継続されているような場合、夫婦関係が破綻したとは認められにくいものです。

性格の不一致と親権、財産分与、慰謝料

離婚する場合、子どもの親権や財産分与などの条件面も夫婦で取り決めなければなりません。

性格の不一致と親権

協議離婚や調停離婚では、夫婦の協議で子どもの親権を決めます。

離婚の理由を問わず、夫婦が合意した内容で親権者を取り決めることができます。

裁判離婚の場合、子の福祉(子の利益)の観点から、以下の基準で親権者が父母のいずれかに決まります。

基準説明
監護の継続性子どもの監護が一定期間継続されており、その状況に特段の問題がない場合、現状を維持すべきという基準
監護態勢子どもの健全な成長のためにより優れた養育環境を準備できる方を優先する基準
子の意思の尊重当事者である子どもの意思を尊重する基準

ただし、15歳未満の場合、子の意思とは異なる判断が下される可能性がある

面会交流の原則実施面会交流に前向きな方を優先する基準

性格の不一致を主張する場合も、上記基準に照らして父母の監護態勢が調査され、調査結果に基づいて親権者が決まります。

なお、「先に調停や裁判を起こした方が有利なのではないか。」という相談を受けますが、親権者については家庭裁判所が必要な調査を十分に行った上で判断するため、先に動いた方が親権者になれるわけではありません。

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性格の不一致と財産分与

協議離婚と調停離婚では、理由を問わず財産分与を請求することができます。

原則として2分の1ずつ分与すること、対象が夫婦の共有財産であること、清算的財産分与・扶養的財産分与・慰謝料的財産分与を請求できること、分与方法は現物分割・換価分割・代償分割があることなど、通常の離婚時の財産分与と変わるところはありません。

なお、明らかな法定離婚事由がなく(配偶者に有責性がなく)、夫婦関係の破綻が認められるだけの別居期間もない場合、配偶者から離婚の条件として財産分与に注文をつけられることがあります。

例えば、「離婚に応じるが、夫婦の共有財産の3分の2を分与してもらいたい。」、「離婚に応じてほしければ財産分与は請求するな。」などと要求されることがあるのです。

応じるか否かは個人の判断ですが、原則として夫婦の共有財産の2分の1の分与を受ける権利があることを踏まえ、離婚のために要求に応じるか、原則どおり財産分与を請求するか慎重に検討してください。

裁判離婚の場合、原則として夫婦の共有財産を2分の1ずつとする判断が下されます。

ただし、訴訟手続きの中で和解する場合、協議離婚や調停離婚と同じく分与財産の調整をすることが可能です。

性格の不一致と慰謝料

離婚の慰謝料は、不法行為により婚姻の破綻原因を作った有責配偶者が、もう一方の配偶者に与えた精神的苦痛に対する損害賠償として支払う金銭です。

つまり、慰謝料を請求するには、婚姻を破綻させる原因が配偶者側になければならないのです。

したがって、性格の不一致を主な理由として離婚を主張する場合、原則として、慰謝料を請求しても認められることはほぼありません。

不貞など慰謝料請求の根拠となる事情と客観的な証拠があれば、慰謝料を得られる見込みは高くなりますが、その場合はそもそも性格の不一致ではなく不貞などで慰謝料請求するのが一般的です。

夫婦の協議や離婚調停において配偶者が慰謝料の支払いに応じた場合は、慰謝料を得ることができますが、性格の不一致という有責性が曖昧な離婚理由で慰謝料の支払いに応じる人はほとんどいません。

解決金

離婚の解決金とは、離婚調停で取り決める金銭給付のうち、支払いの原因となる法的根拠を明確にしないものです。

引用:離婚ハンドブック

慰謝料を請求できる特段の事情はなくても、解決金の支払いを求めることはできます。

例えば、配偶者の心無い一言が別居の直接の原因となった、不貞の証拠はないが異性と仲睦まじく歩く様子を目撃したなどの事情がある場合、慰謝料の代わりに幾ばくかの解決金を請求することがあり得ます。

ただし、性格の不一致で離婚した人が解決金を得られるケースは多いとは言えないのが実感です。

一方で、離婚に応じさせるために、性格の不一致で離婚したい人が配偶者に解決金を支払うケースは一定数あります。

「金で解決するのか。」という批判はありますが、実際のところ、解決金の支払いによって離婚に応じる人がおり、良し悪しはともかく離婚テクニックの一つとして用いられています。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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