母子家庭自立支援給付金制度:シングルマザーの資格取得支援

シングルマザー 資格取得支援

母子家庭のシングルマザーのうち、婚姻中に専業主婦期間が長い人や、パートまたはアルバイト経験しかない人が、離婚後に安定した生活を送るだけの収入が得られる仕事を見つけるのは難しいものです。

安定した収入が得られる仕事への就職に直結しやすいのが資格の取得ですが、資格を取得するためにも一定の費用がかかり、ハードルが高いと諦めてしまうシングルマザーは少なくありません。

しかし、母子家庭のシングルマザーなどの資格取得を支援する制度が設けられており、制度を利用することで資格取得の経済的負担を軽減することができます。

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母子家庭のシングルマザーの資格取得支援(母子家庭自立支援給付金制度)

母子家庭のシングルマザーの資格取得を支援する制度として、「母子家庭自立支援給付金制度」があります。

母子家庭自立支援給付金制度とは、母子家庭のシングルマザーの経済的な自立を支援する目的で厚生労働省と自治体が協力して実施する就労支援事業です。

離婚して母子家庭になったシングルマザーは、就業経験が乏しく、就職に有利な資格も保有しておらず、離婚後に安定した生活を送るだけの収入が得られる仕事に就くことが困難であることが多いのが現状です。

こうした状況に置かれたシングルマザーの就労を支援することにより、手当や助成などで生活そのものをサポートするのではなく、シングルマザー自身が自立して安定した収入が得られるようサポートするのが母子家庭自立支援給付金制度です。

実施主体

都道府県、市(特別区を含む。)、福祉事務所設置町村です。

事業内容は2種類

母子家庭自立支援給付金制度には2つの種類があり、要件や内容などが異なります。

  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金等事業

以下、各制度の詳細について解説します。

母子家庭自立支援給付金制度:自立支援教育訓練給付金

自立支援教育訓練給付金とは、母子家庭のシングルマザーが資格取得のための教育訓練を受講して修了した場合、かかった費用の60%を支給する制度です。

シングルマザーの資格取得の(自らの能力を開発する)ための取組みを支援すること、つまり、シングルマザーの自立の促進を目的としています。

給付金の支給額

教育訓練にかかった費用の60%です。

ただし、給付金の支給額には下限(1万2000円)と上限(20万円)が定められており、この範囲内で支給されます。

受講料などの合計が1万2000円を下回る場合は、支給されません。

また、雇用保険法に基づく一般教育訓練給付金の支給を受けることができる場合、その支給額との差額が支給されることになります。

対象者

制度利用の対象となるのは、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭のシングルマザーで、以下の要件をすべて満たす人です。

  • 児童扶養手当の支給を受けている、または、同等の所得水準にある
  • 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断し、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められる

児童扶養手当の支給を受けている、または、同党の所得水準にある

離婚後に安定した生活を送るだけの収入を得るのが困難な母子家庭を支援する制度であり、所得制限が設定されています。

所得制限限度額は、児童扶養手当と同じです。

扶養親族の人数 所得額
0人 192万円未満
1人 230万円未満
2人 268万円未満
3人 306万円未満

扶養人数が1人増えるごとに所得制限限度額が38万円ずつ上がります。

なお、混同されがちですが、所得と年収は別物です。

所得の計算方法については、関連記事で解説しています。

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就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断し、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められる

就業経験(職種、業種、経験年数など)、技能、資格の取得状況などが細かく聴取され、希望する教育訓練を受けることが、本当に安定した収入を得るために必要か否かが確認され、必要性が認められる場合に制度を利用することができます。

例えば、准看護師資格があり実務経験もある人が、看護士資格取得のための講座受講を希望している場合、必要性があると認められやすいでしょう。

一方で、飲食店でのパート・アルバイト経験しかない人が、看護士資格取得のための講座受講を希望した場合、必要性に疑義を持たれ、受講講座の変更などを求められることがあります。

対象となる教育訓練

制度の対象となる教育訓練は、以下のとおり規定されています。

  • 雇用保険制度の一般教育訓練給付金の指定教育訓練講座
  • その他、上記に準じ都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座

給付金の支給を受けるには、制度の対象となる教育訓練を受講・修了する必要があります。

対象外の教育訓練を受講・修了した場合、給付金は支給されません。

指定教育訓練講座については、以下のウェブサイトから確認することができます。

教育訓練給付制度[検索システム]

事前相談(自治体による講座の指定)

制度を利用するには、自治体の担当窓口で事前相談をして、教育訓練の受講前に自治体から講座の指定を受けなければなりません。

制度の対象となる教育訓練であったとしても、自治体の講座指定を受けずに受講・修了した場合、給付金が支給されないことがあります。

そのため、事前に住んでいる地域の役場を訪問して制度利用を相談し、講座の指定を受けてください。

事前相談では、受講開始日の確認、受講の動機、修了後に取得できる資格と就職へのつながりなど、受講の必要性に関する質問をされます。

給付金の支給時期

注意したいのが、給付金の支給時期です。

給付金が支給されるのは、教育訓練を終了した後です。

したがって、教育訓練にかかる費用全額を一旦は自ら支払う必要があります。

母子家庭自立支援給付金制度:高等職業訓練促進給付金等事業

高等職業訓練促進給付金等事業とは、母子家庭のシングルマザーが専門知識や技能を要する資格を取得するために、養成機関で1年以上の修業が必要となった場合に給付金を支給する制度です。

高等職業訓練促進給付金等事業には、修行中に支給される給付金と資格取得後に支給される給付金があります。

高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金とは、資格取得の修行中に支給される給付金です。

支給額

市町村民税非課税世帯 月額100,000円
市町村民税課税世帯 月額70,500円

支給期間

修行中の全期間です。

ただし、上限は3年と定められています。

高等職業訓練修了支援給付金

高等職業修了支援給付金とは、修行を経て資格を取得した後に支給される給付金です。

支給額

市町村民税非課税世帯 50,000円
市町村民税課税世帯 25,000円

支給期間

修了後に支給されます。

対象者

制度利用の対象となるのは、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭のシングルマザーで、以下の要件をすべて満たす人です。

  • 児童扶養手当の支給を受けている、または、同等の所得水準にある
  • 養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる
  • 仕事または育児と修業の両立が困難である

所得制限については、自立支援教育訓練給付金の項目で解説したとおりです。

対象資格

厚生労働省のウェブサイトには、制度の対象となる資格が例示されています。

また、例示されていなくても制度の対象となる資格もたくさんあります。

厚生労働省のウェブサイトに例示されている資格 その他の対象資格
看護士、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士 作業療法士、准看護師、調理師、栄養士、社会福祉士、美容師、理容師、柔道整復師、鍼灸師など

支給時期

申請をした翌月からです。

早めに申請したい制度ですが、「養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる」ことが対象者の要件となっているため、教育訓練受講後すぐに申請しても認められないことがあります。

担当窓口で相談したときに、申請する時期についても相談しておきましょう。

母子家庭自立支援給付金制度の留意点

最後に、母子家庭自立支援給付金制度の留意点を確認しておきます。

父子家庭自立支援給付金事業もある

この記事では、母子家庭のシングルマザーに関する制度のみを解説しました。

しかし、父子家庭のシングルファザーなども、就労状況や所得などから安定した生活を送るだけの収入が得られない状況に置かれることがあります。

そのため、厚生労働省は、父子家庭自立支援給付金という事業を自治体と協力して実施することにより、子家庭だけでなく父子家庭のシングルファザーなどの自立支援にも取り組んでいます。

制度を設けていない自治体もある

母子家庭自立支援給付金制度は、厚生労働省と自治体が協力して行うものですが、実際の窓口や支援は自治体が制度を設けて実施しています。

自治体の中には制度を設けていないところもあり、そうした自治体では制度を利用することはできません。

【参考】

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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