親権制限制度は親権停止、親権喪失、管理権喪失!申立権者と審判の効力

    最終更新日: 2019.03.5

親権は、子どもが心身ともに健全に成長できるように監護教育し、その財産を適切に管理するための、民法に規定された親の権利であり義務です。

婚姻中は父母が共同親権者として共同して、離婚後は親権者となった親が親権を行使し、子どもを育てることになります。

しかし、子どもに暴言や暴力を振るうなど親権を濫用したり、子どもを放置したりするなど親権を適切に行使しなかったりする親が一定数います。

そこで、民法上、親権停止、親権喪失、管理権喪失という親権を制限する制度が設けられています。

親権制限制度

親権者である親は、子どもの健全な成長のために適切に親権を行使する必要があります。

児童虐待や監護養育の懈怠など親権者として不適切な対応を行った場合、子どもの福祉を守るために親権が制限されることがあります。

民法上に定められた親権制限制度は、親権喪失、親権停止、管理権喪失の3つです。

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親権喪失

親権喪失とは、親の親権を喪失させる(親権者の権利義務を失わせる)手続です。

親権喪失は、民法834条に規定されています。

父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

(民法834条)

民法834条では、家庭裁判所が、「父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するとき」に親権喪失の審判ができると定めています。

申立権者

また、親権喪失の審判の申立権者として、「子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官」が挙げられています。

また、児童福祉法第33条の7により、児童相談所長が申し立てることもできます。

なお、一般的に、児童虐待は「身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト」の4つに分類されるところ、民法834条では、「虐待」が身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、「悪意の遺棄」がネグレクトの意味で使われています。

子の利益(子どもの利益)が最優先

親権喪失の審判では、「子の利益(子どもの福祉)」が第一に優先されます。

親が病気やケガなどやむを得ない事情で親権を適切に行使できない場合であっても、「子の利益を著しく害するとき」は親権喪失が認められることがあります。

なお、民法834条ただし書きで、「2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りではない。」と規定しています。

つまり、2年以内に親権喪失の原因が消滅する見込みがあるときは、親権喪失の審判が認容されません。

平成24年の民法改正による要件の変更

改正前の民法では、親権喪失の要件は「父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるとき」と定められていました。

しかし、平成24年の民法改正で、現在の要件に変更され、子の利益を著しく害するときに親権が制限されることが明記されました。

親権喪失の審判の効力

家庭裁判所が親権喪失を認める審判をすると、親の親権が失われます。

父母が婚姻中で、父母の一方についてのみ親権喪失の審判がされた場合、父母の一方が親権を行使することになります。

後見は、次に掲げる場合に開始する。

1 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。

2 後見開始の審判があったとき。

(民法838条)

単独親権者について親権喪失の審判がされ、親権を行使する人が不在となった場合は、未成年の子どもについて後見が開始します。

未成年者について後見が開始したときは、家庭裁判所に未成年後見人選任の審判を申し立て、家庭裁判所が選任した未成年後見人に子どもの身上監護や財産管理を行わせることになります。

親権喪失の審判がされると、親権喪失の審判の取消しの審判がされるまで、親権が失われたままとなります。

第834条本文、第834条の2第1項又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。

(民法836条)

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親権停止

親権停止とは、2年以内という期限付きで親が親権を行使することができなくする手続きです。

親権停止の法的根拠は、民法834条の2です。

1 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。

2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、2年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

(民法834条の2)

親権停止は、親権喪失と同様、家庭裁判所の審判によって決定されます。

申立権者

申立権者は「子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官」です。

児童福祉法第33条の7により、児童相談所長が申し立てることもできます。

子の利益(子どもの福祉)が最優先

家庭裁判所は、「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に親権停止の審判を行います。

この点は、親権喪失や管理権喪失と変わりありません。

親権停止は平成24年の民法改正で新設された親権制限制度

児童虐待が深刻な社会問題として認識されるようになり、各方面で児童虐待の対策が講じられています。

児童虐待を行う親に対する親権の制限については、以前から親権喪失制度がありましたが、要件の厳しさと効力の強力さから活用しにくいところがありました。

そこで、必要なときに適切に親権を制限し、必要がなくなれば制限が解かれる制度として、平成24年の民法改正で新設されたのが親権停止制度です。

親権停止では、子の利益を害するときに、2年以内という期限付きで親権の行使を制限することができます。

したがって、親権を喪失させるまでの事情はないケースについても、親の親権を制限できるようになりました。

親権停止の審判の効力

親権停止の審判で親権を停止された親は、2年以内という期限付きで、審判が取り消されるまで親権を行使できなくなります。

2年以内に「親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害する」事情が解消されない場合、再度の申立てが可能です。

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親権喪失、親権停止、管理権喪失審判の申立書の書き方と手続きの流れ

管理権喪失

管理権喪失とは、親権者である父母が子どもの財産を適切に管理することが困難な場合や、財産管理を行うことが不適当な場合に、父母の財産管理権を制限する手続きです。

子どもの監護養育に大きな問題がなくても、財産管理や法律行為の代理などを行わせるのが適当でないときに、親権のうち管理権だけを喪失させることができます。

管理権喪失については、民法835条に規定されています。

父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。

(民法835条)

父母の管理権を喪失させるには、家庭裁判所の審判による必要があります。

申立権者

申立権者は「子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官」です。

児童福祉法第33条の7により、児童相談所長が申し立てることもできます。

子の利益(子どもの福祉)が最優先

また、要件は「父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」です。

なお、以前の要件は「父又は母が、管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたとき」でした。

しかし、親権喪失と同様、平成24年の民法改正で、子の利益を害するときに制限されることが明記されました。

管理権喪失の審判の効力

家庭裁判所が管理権喪失を認める審判をすると、親権者は親権のうち管理権を行使することができなくなります。

父母が婚姻中で、父母の一方についてのみ管理権喪失の審判がされた場合、父母の一方が親権を行使することになります。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
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サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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