親権と監護権の違いは?分ける方法と分離のデメリットは?

親権 監護権

親権は、親が子どもの健全な成長のために行使する権利義務のことで、大きく監護権(身上監護権)と財産管理権に分けることができます。

通常、親権者は監護権と財産管理権の両方を有し、それらを子どもの健全な成長のために適切に行使することになりますが、法律上は、監護権と財産管理権を分けることができるようになっており、実際、別居時や離婚時に監護権と財産管理権を分けることがあります。

しかし、夫婦関係が悪化した状況で監護権と財産管理権を別々の親が有することで、様々なデメリットが生じます。

親権には監護権(身上監護権)と財産管理権がある(親権と監護権の違い)

親権とは、子どもの監護教育と財産管理を目的として、子どもの父母に付与される権利と義務です。

親権という名前からは「親の権利」を想定しがちですが、子どもの利益のために適切な監護教育と財産管理を行うものであり、義務の側面が強くなっています。

親権者に付与されている権利義務は、監護権(身上監護権)と財産管理権に分けることができます。

監護権(身上監護権)とは

監護権とは、子どもを監護(子どもの身体上の監督や保護)し、教育(子どもの精神的な発達を支える)する権利義務です。

民法上、親権者の監護権として以下の権利義務が定められています。

  • 居所指定権(民法821条):子どもが住む場所を指定する権利義務
  • 懲戒権(民法822条):子どもの健全な成長に必要な懲戒をする権利義務
  • 職業許可権(民法823条):子どもの職業を制限する権利義務

親が監護権を行使するには、子どもの居所を指定して同居する必要があります。

同居しない場合でも、子どもがその健全な成長を阻害されるような環境で暮らすことのないよう配慮することが求められます。

また、子どもが雇用主から労働力を搾取されるような仕事に就くことのないよう、親として子どもの職業を制限する権利義務も監護権に含まれます。

懲戒権については「しつけ」と明確な区別がされていませんが、子どもの監護教育に必要な限度で認められるとされています。

財産管理権とは

財産管理権とは、子どもの財産管理を行う権利義務です。

祖父母から贈与を受けるなど、未成年の子どもが財産を築くことがあり、親としてその財産を管理する権利義務が財産管理権です。

親権者は、子どもの財産を「自己のためにすると同一の注意義務」をもって管理する権利と義務があります。

あくまで子どもの財産を管理する権利義務であり、子どもの財産を自分の財産のように使うことはできません。

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監護権と親権(財産管理権)は分けることができる

父母が婚姻して共同生活を維持している間は、父母が共同親権者として共同して子どもの監護を行いますが、父母の関係が悪化して別居する場合には、父母のどちらが子どもを監護するかについて紛争が生じることがあります。

婚姻中の父母はどちらも子どもの監護権を有していますが、別居後は父母の一方が子どもと同居して監護教育を担い、もう一方は監護権を侵害された状態となって争いが起こります。

こうした場合、家庭裁判所で「子の監護者の指定」調停または審判の申立てを行い、父母の一方を子どもの監護者に指定することができます。

また、日本では離婚後の単独親権制が採用されているため、父母が協議離婚するときは父母の一方を親権者と定める必要があります。

一方で、監護者について協議できることになっており、父母の協議によって親権者と監護者を分けることができます。

1 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前2項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

4 前3項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

(民法766条)

離婚時に親権者と監護者を分けるには、まず、父母が協議します。

ただし、父母の協議で親権者と監護者を分けたとしても、戸籍上は親権者しか表示されません。

父母の協議ができないまたは協議で合意できない場合は、家庭裁判所の調停や審判で親権者を誰にするか、親権者と監護者を分けるか否か決めることができます。

離婚訴訟でも、子どもの福祉のために必要がある場合には親権者と監護者が分けられることがあります。

また、離婚時に父母の一方を親権者とした(親権者と監護者を分けなかった)場合でも、親権者が子どものを養育できなくなったり、不適切な養育態度が問題となったりしたときは、親権者を変更したり、親権者と監護者を分けたりすることができます。

離婚後の親権者変更や親権者と監護者の指定は、父母の協議ではできず、家庭裁判所の調停や審判を申し立てる必要があります。

監護権と親権(財産管理権)を分ける場合

例えば、母が子供を引き取って監護することになったものの、母に浪費癖があって子どもの財産を使い込む恐れがある場合に、母を監護権者、父を親権者とすることがあります。

また、子どもの監護を父が行うことで父母の合意ができたものの、母が子どもの親権者であることに固執した場合に、父を監護者、母を親権者として離婚することもあり得ます。

しかし、婚姻中は父母が共同親権者として親権を行使し、離婚後は夫婦の一方が親権者となるのが本来の親権のあり方で、監護権と親権を分けるのはごく例外的な場合に限られています。

家庭裁判所の調停で監護権と親権の分属を求めることもできますが、子どもの福祉の観点から慎重に考慮するよう促されます。

親権と監護権を分けるデメリット

親権と監護権を父母で分けた場合、監護権者となった親が子どもを監護教育することになりますが、戸籍上は親権を得た親が親権者として記載されています。

つまり、子どもは親権者と同一戸籍となるため、監護権者が離婚後に旧姓に戻った場合、子どもと監護権者の氏が異なることになります。

また、保育園、幼稚園、学校や、銀行、市役所、裁判所、病院などの手続では、監護権者ではなく親権者が手続きを行うよう求められることがあり、その度に親権者に連絡をとって手続きを依頼することになります。

例えば、子どもが事故に遭って大けがを負い、手術が必要になったとします。

通常、手術には親権者である親の同意が必要で、監護権者では代替することができません。

したがって、監護権者が親権者に連絡し、事情を説明して手術に同意するよう依頼しなければならなくなります。

父母間で協力関係があれば問題ありませんが、親権と監護権を分ける必要がある父母の場合、父母間の紛争性が高いことが多いため、子どものためとはいえ協力関係を築くことが困難な傾向があります。

そのため、対応が遅くなり、子どもの生活に悪影響が及んでしまいかねません。

特に、親権者と監護権者が普段から連絡をとっていない、親権者が遠隔地に居住しているなどの場合は、迅速な対応ができないことが多いものです。

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