親族間の紛争調整調停とは?祖父母の面会交流も求められる?

親族間の紛争調整調停
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家庭裁判所の家事調停は家庭に関する問題の解決を目的とする制度であり、紛争の内容によって様々な事件類型が整備されています。

親族間の紛争調整調停もその一つです。

親族間の紛争調整調停とは

親族間の紛争調整調停とは、何らかの事情で親族関係が悪化し、当事者同士では関係改善を図ることが難しい場合に、家庭裁判所の調停を利用して親族関係の改善を図る手続です。

離婚調停(夫婦関係調整調停)と同じく一般調停に分類されます。

一般調停事件とは

一般調停事件とは、家庭裁判所の家事調停事件のうち、別表第2調停事件と特殊調停事件を除く事件です。

別表第2事件とは「家事事件手続法別表第2に掲げられた、まずは当事者間の話し合いで解決を目指し、解決が困難なときは家庭裁判所が判断する事件」で、調停と審判の手続きを利用することができます。

特殊調停事件とは、「離婚と離縁以外の身分関係の形成や存否確認に関する事項の事件」であり、調停での当事者の合意に基づいて家庭裁判所が必要な調査を行い、合意に相当する審判をする手続です。

これらの調停事件を除く一般調停には、離婚調停や円満調停、慰謝料調停などが含まれます。

一般調停事件には、人事訴訟を提起できる事件(離婚など)、民事訴訟を提起できる事件(慰謝料など)、訴訟を提起できない事件の3つがあり、親族間の紛争調停は訴訟を提起できない事件の一つです。

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親族間の紛争調整調停を利用するケース

家事事件の多くは、個別かつ具体的な紛争の解決を目的としています。

例えば、夫婦関係調整(離婚)調停では離婚とそれに伴う諸条件について話し合いますし、養育費調停では子どもの養育にかかる費用について元夫婦間で協議します。

しかし、親族間の紛争調整調停が取り扱うのは「親族間の紛争」という幅の広いテーマです。

例えば、入院中の親の看病や財産管理をきょうだいでどのように分担するか取り決めたい、いとことの長年にわたる感情的ないがみ合いを解消したい、姑に暴言を止めてもらいたいなど、親族間の紛争であれば特段の制限なく利用することができます。

祖父母の面会交流

日本の法律では補父母の面会交流が規定されていません。

したがって、祖父母が孫との面会交流を希望しても面会交流調停や審判を申し立てることはできません。

しかし、非監護親の祖父母と監護親の間の親族間紛争とみなし、親族間の紛争調整調停を申し立てることは可能です。

事例が少なく、家庭裁判所によっては申立てに難色を示すところもありますが、少なくとも夫婦が離婚する前(姻族関係が解消される前)であれば申し立てる余地はあります。

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親族間の紛争調整調停の法的拘束力

親族間の紛争調整調停で親族が合意した内容が調停調書に記載されて調停が成立すると、調停調書の内容は確定判決と同様の効力を持ちます。

つまり、調停で取り決めた内容は法的拘束力があります。

親族間の紛争調整調停では道義条項だけを取り決めて調停を成立させることが多くなっています。

例えば、義母に暴言を止めさせるために申し立てた調停で、「義母は、暴言を控えることを約束する。」という旨の調停条項を取り決めるのです。

一方で約束が履行されない場合に強制執行手続きを利用できる給付条項、確認条項、形成条項が取り決められるケースは稀です。

調停で取り決めることができる条項の種類については、関連記事で詳しく解説しています。

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親族間の紛争調整調停の申立て

親族間の紛争調整調停の申立て方法について解説していきます。

申立権者(申立人)

相手方と親族関係にある人です。

血族か姻族かに関わらず、夫婦、義理の親子、いとこ、祖父母と孫など何らかの親族関係があれば申し立てることができます。

一方で、いかに親密な関係であっても、事実婚(内縁)の夫または妻の父母など親族関係にない人を相手方として親族間の紛争調整調停を申し立てることは認められません。

あくまで法律上の親族関係がある人との間で紛争が生じている場合にのみ利用できるのです。

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申立先(管轄の家庭裁判所)

家事事件手続法第245条第1項の規定により、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所」です。

合意管轄が認められているため、調停の管轄について親族間で合意ができた場合は、相手方の住所地の家庭裁判所以外で親族間の紛争調整調停を行うことができます。

親族間で管轄の合意ができたことは、管轄合意書を作成して家庭裁判所に伝える必要があります。

管轄合意書の記載事項は、以下のとおりです。

  • 表題
  • 宛名
  • 本文:(例)上記当事者間の貴庁平成○○年(家イ)第○○号調停申立事件は、○○家庭裁判所(○○支部)の管轄に属する事件ですが、当事者双方合意の上、基調を管轄裁判所と定めたので、お届けします。
  • 提出年月日
  • 申立人と相手方の住所、氏名、押印

裁判所ウェブサイト内の様式を使用しても、自らA4用紙に必要事項を記載して作成しても問題ありません。

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申立ての必要書類

親族間の紛争調整調停の申立てに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 申立書:2通(原本1通、コピー1通、※保管用に1部)
  • 申立事情説明書:1通
  • 連絡先等の届出書:1通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 自分の戸籍謄本(全部事項証明書):1通
  • 相手方(親族)の戸籍謄本(全部事項証明書):1通(取得できない場合は窓口へ相談)
  • 紛争の内容に関する資料

裁判所ウェブサイトに記載されている必要書類は申立書のみですが、実際は他にも添付を求められる書類が多いため、あらかじめ準備しておきましょう。

親族関係によっては親族の戸籍謄本が取得できないため、事前に相談しておく必要があります。

申立てにかかる費用

親族間の紛争調整調停を申し立てるには手数料(収入印紙)と郵便切手が必要です。

  • 収入印紙:1200円分
  • 郵便切手:申立先の家庭裁判所が指定する金額と枚数

郵便切手の金額や枚数は各家庭裁判所が独自に決めており、事前確認が求められます。

親族間の紛争調整調停の流れ

親族間の紛争調整調停申立てが受理されると、調停期日の指定、調停期日、次回期日の指定、調停終了という流れで手続が進みます。

調停期日指定と通知

申立書などに不備不足がなく申立てが受理された場合、申立ての受理から1ヶ月~1ヶ月半後に第1回期日が指定されます。

申立てから約2週間後、申立人と相手方に調停期日通知書が郵送され、調停期日が通知されます。

相手方への郵便には申立書のコピーや進行に関する照会回答書も同封されており、相手方が申立ての内容を知り、それに対する意見を事前に家庭裁判所へ伝えることができるようになっています。

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調停に持参する物

調停の第1回期日に持参したい物についても触れておきます。

  • 調停期日通知書
  • 身分証明書(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど)
  • 印鑑(認印可)
  • 筆記用具、メモ帳(調停の内容を書きとめておくため)
  • 予定表(第2回以降の期日調整のため)

調停期日通知書と身分証明書は、本人確認と事件番号特定のために必要なので必ず持参してください。

その他は任意ですが、調停の進行を書き留めたり、成立や取下げなどの手続きを行ったり、次回期日を調整したりする可能性があるため、認印、筆記用具とメモ帳、予定表も持参しておきたいところです。

第1回期日の流れ

調停期日に家庭裁判所の家事調停窓口(名称は家庭裁判所によって異なる)へ行き、調停期日通知書を窓口の職員に渡すと、待合室に案内されます。

その後、呼出し時刻になると調停委員が待合室まで呼びに来るので、後について調停室へ入ります。

調停委員に主張を伝える

親族間の紛争調整調停は、申立人と相手方が交互に調停室へ入室して調停委員に意見や主張を伝え、調停委員から相手の主張を聞いて譲歩するか否かを検討するということの繰り返しで進行します。

第1回期日は、まず申立人が調停委員に申立ての事情や主張を説明することになります。

1回あたりの聴取時間は約30分、調停1期日は約2~3時間なので、申立人と相手方がそれぞれ2~3回ずつ調停委員と話すと終了時刻です。

調停は当事者の合意を前提とする手続であり、調停委員や裁判所が勝手に紛争について判断を示すのではなく、当事者同士が互いに相手の主張を聞いて譲歩しあいながら合意を形成していかなければなりません。

期日終了と次回期日の指定

調停終了時刻までに合意ができない場合、調停期日の進捗状況と次回期日までの課題を確認し、次回期日を決めて調停が終了します。

次回期日は、当事者の都合だけでなく、開廷日(裁判官や家事調停官が調停を行う日)、調停委員の予定、調停室の空き状況などが考慮され、約1ヶ月後に指定されます。

第2回期日以降

調停の進行は第1回期日と同じですが、通常は、相手方の聴取から始まります。

前回期日の到達点を確認した上で当事者が交互に調停委員に対して主張を述べ、合意形成を図ります。

調停委員会が「当事者の主張は概ね出揃った」と判断すると、調停委員会としての案(調停案)を提示してくることもありますが、気に入らなければ受け入れる必要はありません。

調停の終了

原則として、親族間の紛争調整調停は、調停成立、調停不成立、申立ての取下げのいずれかで終了します。

調停成立 親族間で紛争解決の合意が整った場合
調停不成立 親族間で紛争解決のめどが立たず、譲歩の余地もない場合
取下げ 申立人が事件を取り下げた場合

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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