若年性認知症で障害年金を受給できる?受給要件と申請、等級と金額は?

障害年金
スポンサーリンク

65歳未満で発症した認知症を若年性認知症といいます。

若年性認知症を発症すると、それまでの仕事が継続できなくなり、経済的に困窮してしまいがちです。

障害年金は、受給要件を満たせば認知症の人でも受給することができ、本人や家族の経済的な支えの一つになります。

この記事では、障害年金の概要、受給要件、等級と金額、申請(請求)方法について解説します。

障害年金とは

障害年金とは、病気やケガにより仕事や生活などが制限される状況になった場合に受給できる年金です。

年金というと20歳から60歳まで保険料を納めた人が65歳から受給できる老齢基礎年金をイメージする人が多いですが、障害年金は65歳未満のいわゆる現役世代も受給できます。

障害年金の対象となる認知症

障害年金を受給するには、病気やケガで初めて病院を受診した日(初診日)が65歳の誕生日2日前までにある必要があります。

そのため、認知症で障害年金を受給できるのは、原則、若年性認知症の人のみとなります。

ただし、初診日が65歳の誕生日以降でも、初診日の時点で国民年金に任意加入または厚生年金に加入している場合など、65歳以降でも例外的に受給できることがあります。

関連記事

若年性認知症とは?初期症状・主な症状、原因は?年齢は20代から?

障害年金の種類と受給要件

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類あり、初診日に加入していた年金制度によって、支給される年金が異なります。

障害基礎年金

障害基礎年金とは、病気やケガによって心や身体が障害された状態にある人が受給できる国民年金です。

障害の程度(状態)によって、1級と2級に分類されます。

障害基礎年金の受給要件

初診日が国民年金加入期間中であること(20歳に達する前に初診日がある、または、60歳以上65歳未満の人で日本在住中に初診日がある場合も含む)

  • 自営業、パート、アルバイト、学生など
  • 厚生年金加入者の配偶者(3号被保険者)
  • 先天性の病気などにより初診日が国民年金加入前(20歳前)にある人

2.障害の程度が日本年金気候の定める基準に該当し、その状態が継続していること

3.保険料納付要件を満たしていること(以下のいずれかを満たすこと)

  • 初診日の月の前々月までの公的年金加入期間の2/3以上につき、保険料を納付または免除されている
  • 初診日が65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

障害基礎年金の金額

  • 1級:年額974,125円(月額81,177円)
  • 2級:年額779,300円(月額64,941円)

※2017年4月26日時点、所得制限や世帯人数加算あり

障害厚生年金

障害厚生年金とは、厚生年金加入期間中に、病気やケガによって心や身体が障害された人が受給できる年金です。

障害の程度によって1級、2級、3級に分類されます。

障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態となった場合は、障害基礎年金に上乗せするかたちで受給できます。

2級より軽い程度の障害では3級の年金が受給できる他、初診日から5年以内に病気やケガが治り、3級より軽い程度の障害が残った場合は障害手当金という一時金が支払われます。

障害厚生年金の受給要件

1.初診日が厚生年金加入期間中であること

(20歳未満でも、初診日が厚生年金加入期間中である場合は支給対象)

2.障害の程度が日本年金気候の定める基準に該当し、その状態が継続していること

3.障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていること

障害厚生年金の金額

1級:報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級の金額(974,125円)

2級:報酬比例の年金額+障害基礎年金2級の金額(779,300円)

3級:報酬比例の年金額(最低保障額:584,500円)

※2017年12月28日時点、配偶者加算あり

障害年金の認定基準(等級ごとの認定基準)

障害年金の認定基準は、「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」において各等級ごとに定められています。

若年性認知症による障害年金の認定基準は、以下のとおりです。

  • 1級:高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
  • 2級:認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
  • 3級:①認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの、②認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの(障害厚生年金のみ)
  • 障害手当金:認知障害のため、労働が制限を受けるもの(障害厚生年金のみ)

引用:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構

つまり、1級が「日常生活を送るには常に誰かの援助が必要な状態」、2級が「日常生活に大きな支障が出ている状態:、3級が「仕事に大きな支障が出ている状態」、障害手当金が「仕事に支障が出ている状態」です。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

精神の障害に係る等級判定ガイドラインとは、日本年金機構が2016年9月に発表した、精神障害や知的障害の障害等級の判定を行う際のガイドラインです。

ガイドラインでは、障害年金の請求時に提出される医師の診断書の記載項目(①日常生活能力の判定、②日常生活能力の程度)によって障害等級の目安を定めることが示されています。

日常生活能力の判定

日常生活能力の判定では、日常生活の7つの場面における支障の程度について評価します。

  1. 適切な食事:配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできる
  2. 身辺の清潔保持:洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができるなど。
  3. 金銭管理と買い物:金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできる
  4. 通院と服薬:規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる
  5. 他人との意思伝達および対人関係:他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える
  6. 身辺の安全保持及び危機対応:事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができる
  7. 社会性:銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行える

各項目について、以下の4段階で評価します。

  1. できる
  2. 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
  3. 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
  4. 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

日常生活能力の程度

日常生活能力の程度では、日常生活全般(日常生活能力の判定場面も含む)における支障の程度を総合的に評価します。

具体的には、以下の5つの項目から、本人の状態に当てはまるものを選びます。

  1. 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
  2. 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
  3. 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
  4. 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
  5. 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

障害年金の申請(請求)

若年性認知症の人が、障害年金を申請(請求)する場合の手続について見ていきます。

障害年金を申請(請求)する時期

若年性認知症について、初めて病院を受診した日(初診日)から1年6ヶ月が経過した後が目安です。

障害年金の申請(請求)場所

障害年金の申請(請求)場所は、以下のとおりです。

  • 厚生年金加入者:社会保険事務所
  • 公務員:共済組合
  • 自営業など:市区町村の国民年金担当課

障害年金(請求)に必要な書類

障害年金の申請(請求)に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか1通
  • 医師の診断書
  • 受診状況証明書:初診日を証明するための資料
  • 病歴・就労状況等申立書:障害の状態を証明するための資料
  • 本人名義の預貯金口座通帳:障害年金を振り込んでもらう口座てちょう
  • 印鑑
  • その他申請(請求)先から提出を求められた資料

※年金請求書、医師の診断書、受診状況証明書、病歴・就労状況等申立書の書式は、日本年金機構のサイトでダウンロード可能(所定の書式以外を提出すると、再提出となることがあります。)

認知症で障害年金を受給する場合に重要になるのが、医師の診断書と病歴・就労状況等申立書です。

医師の診断書

精神の障害に係る等級判定ガイドラインでは、医師の診断書の記載項目によって障害等級の目安を定めることが示されています。

つまり、医師の診断書の記載内容が、障害等級を大きく左右するのです。

医師は、本人の問診や家族などからの聞き取り、各種検査の結果に基づいて診断書を作成しますが、一人の患者にかける時間は限られています。

そのため、本人の日常生活の様子、認知症の症状による日常生活や仕事への支障の内容や程度、家族が困っていることなどをあらかじめ整理しておき、医師に伝えることが重要です。

言葉で説明するのが難しい場合は、書面を作成して提出することもできます。

病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書は、認知症の症状が現れ始めた時期から申立書を作成する時期までの本人の日常生活や仕事の状況を時系列で記載する書面です。

障害年金を申請(請求)する本人またはその家族などが記憶やメモなどに基づいて作成します。

医師の診断書では記載しきれない日常生活や仕事への支障などを伝えるための重要な書面なので、症状が現れ始めた後の流れを時系列で整理した上で、できるだけ正確かつ詳細に書く必要があります。

記載内容の例は、以下のとおりです。

  • 症状の具体的な内容と日常生活への支障の程度
  • 認知症の症状が原因となった対人トラブル
  • 認知症の症状が原因となった事件や事故、ケガなど
  • 家族や周囲の人の介護・ケア
  • 施設入所歴や福祉サービスの利用状況

なお、医師の診断書の内容と病歴・就労状況等申立書の内容に齟齬があると、記載内容の信ぴょう性が疑われることになるため、医師に伝える内容と申立書の記載内容を一致させておく必要があります。

申請(請求)から審査結果が届くまでの期間

申請(請求)から審査結果が届くまでに、障害基礎年金で約3ヶ月、障害厚生年金で約3ヶ月半かかります。

書類の不備などがあると、さらに期間を要します。

また、審査結果が届いてから障害年金を受給するまでに、約2ヶ月間かかります。

関連記事

認知症で障害者手帳を取得!精神障害者保健福祉手帳のメリット、申請と等級は?

スポンサーリンク

アバター

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

ピックアップ記事

  1. 熟年離婚 準備 離婚届
  2. 借金 離婚
  3. アルコール依存症
  4. カサンドラ症候群 離婚
  5. セックスレス 離婚
  6. 子どもの障害 離婚
  7. DV 離婚
  8. 離婚 効果 戸籍 氏 姻族関係
ページ上部へ戻る