就学援助制度とは?年収総額等の認定基準とデメリット、支給日・振込日は?

家庭の経済的な事情により、学校へ通うことができない、学用品や体操服などを買い揃えてもらえない、給食費が払えない、修学旅行に行くことができないなどの状況に置かれた子供が一定数います。

そうした子供が家庭の事情を気にせず元気に学校に通い、同級生と楽しく学校生活を送れるよう援助するのが、就学援助制度です。

就学援助制度は、一定の要件を満たすことで、所得の低い母子家庭のシングルマザーも利用することができます。

この記事では、就学援助制度の認定基準(年収総額など)と受給のデメリット、援助金の支給日・振込日について解説します。

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就学援助制度とは

就学援助制度とは、子供が平等に義務教育を受けることができるようにする目的で、経済的な理由で就学が困難な小・中学生の父母などに対して援助を行う制度です。

就学援助制度は、学校の教材費、校外活動費、修学旅行費、入学準備補助金、学校給食費など学校に関する幅広い費用が援助されます。

また、リストラで急に失業した場合など、随時、申請して援助を受けることができます。

就学援助の法的根拠

就学援助制度は、学校教育法第19条に規定されています。

経済的理由によって,就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては,市町村は,必要な援助を与えなければならない。

(学校教育法第19条)

就学援助制度の認定基準(年収など)

一般的に、就学援助制度の対象となるのは、申請する自治体に住所(住民票)があり、同自治体が運営する小・中学校(夜間中学校を含む)に在籍する子供を養育している保護者で、以下の要件に当てはまる人です。

認定基準
  • 市民税が非課税:均等割額・所得割額の両方が非課税
  • 固定資産税を減免された:火災・地震・津波などの災害が原因である場合
  • 個人事業税を減免された:前年またはその年に減免された場合
  • 国民年金保険料を減免された:子供の保護者全員が減免されている場合
  • 国民健康保険料を減免・徴収猶予された:子供の保護者全員が減免または猶予されている場合
  • 児童扶養手当の支給を受けている:児童手当や特別児童扶養手当ではなく児童扶養手当
  • 生活福祉資金の貸付決定を受けた:前年またはその年に決定を受けた場合
  • 雇用保険被保険者手帳を有する日雇労働者:手帳保有者以外の保護者に収入がある場合は除外
  • 火災、風水害、震災、その他の災害にあった:前年またはその年に災害に遭った場合
  • 生活保護を停止または廃止された:世帯状況変更により廃止された場合は除外
  • 生活保護を受けている
  • 収入維持者の死亡、解雇、被災などの生活の急変により経済的に困窮した

大まかに言うと、経済的な事情によって、養育する子供を就学させることが困難な世帯が対象になります。

ただし、市区町村によって要件の細部が異なるので、利用を希望する場合は、子供が通学する学校に事前確認してください。

就学援助制度の所得制限(年収総額など)

就学支援制度には、所得制限が設けられています。

市民税が非課税、児童扶養手当の支給を受けているなどの場合、各制度の審査段階で個別に定められた所得制限をクリアしているので、就学支援制度で所得制限が問題となることはありません。

しかし、生活の急変により経済的に困窮した場合は同一世帯全員(原則として同居している人全員)の所得が所得制限に当てはまるか否かが審査されます。

所得制限の内容は市区町村によって異なるので、事前確認が必要です。

ここでは、大阪市の所得制限を見ておきます。

大阪市の場合住居の形態
世帯人数借家など持家
2人218万円153万円
3人267万円203万円
4人325万円260万円
5人362万円298万円
6人404万円339万円
7人476万円400万円

例えば、単身赴任をしている保護者や、子供と同居する祖父母なども同一世帯となります。

なお、所得制限で審査される所得は、年収とは異なるものです。

所得の計算方法については、関連記事で詳細に解説しているので、読んでみてください。

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就学援助制度の対象と就学援助費の金額

援助の対象となるのは、以下の費用です。

補助対象品目内容
学用品費学習教材や文具などの購入費用
体育実技用具費体操服、水着、剣道の竹刀や道着などの購入費用(上限あり)
新入学児童生徒学用品費など教科書や学校教材などの購入費用。(4月に就学支援認定された小学1年生または中学1年生のみ)
通学用品費傘、レインコート、自転車などの購入費用
通学費電車やバスなど通学に使用する交通機関の費用(学校が認める手段を利用して通学する子供のみ)
修学旅行費修学旅行の宿泊費や施設見学費用などの費用。(修学旅行に参加した子供のみ)
校外活動費校外活動参加に必要な交通費や昼食代などの費用(校外活動に参加した子供のみ)
医療費
特定疾病のみ
学校給食費給食代(夏休み期間中などは不支給)
クラブ活動費クラブ活動に必要な費用。
生徒会費生徒会の会費
PTA会費PTAの会費

市区町村によって援助内容が異なるので、住民登録している(住民票がある)市区町村に事前確認が必要です。

就学援助費は実費が多いですが、上限が設定されるなど実費全額が援助してもらえないことも多いです。

標準的な金額は、以下のとおりです。

補助対象品目就学援助費
学用品費実費

  • 小学生:1万円~1万5,000円/年
  • 中学生:2万円~2万5,000円/年
体育実技用具費実費

  • 小学生:約5,000円/年
  • 中学生:約6,000円/年
新入学児童生徒学用品費など
  • 小学校1年生:約4万円
  • 中学校1年生:約4万5,000円
通学用品費実費
通学費実費
修学旅行費実費
校外活動費実費
医療費
学校医療券が交付
学校給食費40,000円~全額支給
クラブ活動費実費
生徒会費実費

  • 約5,000円/年
PTA会費実費

  • 約5,000円/年

就学援助制度の申請方法

就学援助制度の申請方法について、流れに沿って解説します。

申請場所

子供が在籍し、通学している学校です。

新年度に子供が1年生になる場合、入学予定の学校が申請場所となります。

まず、担任(入学前は教頭)に制度利用を希望していることを伝え、制度の説明を受けたり、就学援助申請書(世帯状況票)などの書類をもらったりしてください。

申請の必要書類

申請には、就学援助申請書(世帯状況票)の提出が必要です。

申請書は、子供が通学する学校でもらいます。

申請の必要書類は、家庭の状況によって異なります。

家庭の状況必要書類
住民税非課税同居する人全員の市民税・所得金額等の証明書類
固定資産税を減免された
固定資産税・都市計画税(土地・家屋)税額変更通知のコピーなど
個人事業税を減免された
個人事業税減免決定通知書のコピーなど
国民年金保険料を減免された
国民年金保険料免除・納付猶予申請承認通知書のコピーなど
国民健康保険料を減免・徴収猶予された
国民健康保険料(変更)決定通知書のコピーなど
児童扶養手当の支給を受けている
児童扶養手当証書など
生活福祉資金の貸付決定を受けた
生活福祉資金貸付決定通知書のコピーなど
雇用保険被保険者手帳を有する日雇労働者
雇用保険被保険者手帳など
災害被害に遭った
被災証明、り災証明など
生活保護を停止または廃止された
生活保護停止・廃止決定通知書のコピーなど
生活保護を受けている
生活保護適用証明書など
生活の急変により経済的に困窮した
同居する人全員の市民税・所得金額等の証明書類

その他にも資料などの提出を求められることがあり、また、市区町村によって提出書類が異なることもあるため、事前に確認してください。

提出期限

提出期限を設けている市区町村もありますが、期限を過ぎても生活の急変などの事情がある場合、随時申請することができます。

結果の通知

標準的な審査期間は60日であり、申請が受理されてから60日を経過した後に結果が「審査結果通知書」を郵送するかたちで通知されます。

ただし、申請書の不備や必要書類の不足などの事情がある場合、訂正や追完までの期間は審査期間に含まれないため、結果通知が遅れます。

就学援助費の支給日・振込日

就学援助費の支給日・振込日は市区町村によって異なるので、申請時に確認してください。

支給方法は申請時に指定した口座への振込が多いですが、市区町村によっては手渡しのこともあります。

ただし、手渡しによる支給であっても、子供が就学援助を受けていることを同級生などに知られない配慮はされます。

就学援助費の品目別の支給方法は、以下のとおりです。

支給方法
  • 修学旅行費、校外活動費:子供が行事参加してから2~3ヶ月後
  • 新入学児童生徒学用品費など:小学生は夏休み前後、中学生は進学前の3月前後
  • 学用品、通学用品費など:年3回
  • 給食費:年3回
  • クラブ活動費、生徒会費、PTA会費など:随時

修学旅行費の支給日はいつ?

修学旅行費の支給日は、修学旅行が終わってから2~3か月後になるのが一般的です。

修学旅行費が支給されるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

支給の流れ
  1. 学校が、修学旅行に参加した教師や依頼先の旅行会社から会計報告を受け取る
  2. 学校が、教育委員会に対して費用の内訳や参加した生徒などを報告
  3. 教育委員会は、学校の報告内容を確認した上で支給手続きをとる
  4. 市区町村の会計で支出処理をする
  5. 修学旅行費の援助金が支給される

これだけの手続きを踏むことになるので、3ヶ月以上かかることも少なくありません。

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就学援助金を利用するデメリット

就学援助金のデメリットとして心配されることが多いのが、「援助を受けていることが他の生徒や保護者に知られるのではないか。」ということです。

例えば、「申請用紙の提出や援助金の受け取りを誰かに見られるのではないか。」という不安を抱える保護者は少なくありません。

しかし、就学援助金の手続きについては、放課後の教室や待合室など周囲の目が気にならないところで対応してもらえます(事前予約が必要なこともあります。)。

援助金の受け取りは、振り込みにしておけば誰かに見られる心配はありません。

高等学校等就学支援金制度

高等学校等就学支援金制度とは、高校などに在籍する子供の授業料を国が負担する制度です。

高校無償化の後に導入された制度で、所得要件などがあるものの、母子家庭だけでなく多くの家庭が利用できるものです。

高等学校等就学支援金制度については、関連記事で解説しています。

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高校の就学支援金(学費無償化):支給日と提出書類、私立高校の場合を解説

まとめ

就学援助制度は、子供が家庭や親の経済的事情に関係なく義務教育を受けられるようにするための制度です。

義務教育で必要になる授業料以外の幅広い費用を援助してもらえるので、年収が少ない母子家庭(シングルマザー)などを中心に利用されています。

住民税の非課税世帯や児童扶養手当を受給している世帯なら年収などの認定基準は満たしているので、申請すれば受給できます。

「周囲の子供や親にバレるのではないか」という心配をする人も多いですが、学校側も心得ているので慎重な対応をとってもらえます。

制度の利用条件と自分の年収などを確認し、利用できるようなら早めに手続きをしておきましょう。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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