高校の就学支援金(学費無償化):支給日と提出書類、私立高校の場合を解説

義務教育を受ける小・中学生の就学を援助する制度には「就学援助制度」がありますが、高校生などを支援する制度としては「就学支援金制度(高校等学費の無償化)」があります。

就学支援金制度は、国が高校などの授業料を国が負担してくれる仕組みで、全国の約80%の高校生などが利用しています。

対象となる学校や所得制限など一定の要件はありますが、母子家庭に限らず多くの家庭が対象となるため、確認した上で申請を行ってください。

高等学校等就学支援金制度とは

高等学校等就学支援金制度とは、高校(高等学校)などに在籍する子供を対象として、その授業料を国が負担する制度です。

制度の性質から、「高校等の学費(授業料)無償化」と呼ばれることもあります。

高校などで教育を受けるのにかかる経済的な負担を軽減し、教育の機会均等を図ることを目的として、2014年4月から導入されました。

高等学校等就学支援金制度の特徴

高等学校等就学支援金制度の特徴は、大きく3つあります。

就学支援金の特徴3つ
  • 教育に係る経済的負担を軽減して教育の機会均等を図ることが目的
  • 給付金である(=返済不要)
  • 国が授業料を負担するために給付金を支給

高校生等奨学給付金制度との違い

高等学校等就学支援金制度と混同されやすい制度に、高校生等奨学給付金制度があります。

高校生等奨学給付金制度とは、低所得の母子家庭や生活保護世帯などで養育されている高校生などを対象に、授業料以外の教育費の負担を軽減するために給付金を支給する制度です。

教育に係る経済的負担を軽減して教育の機会均等を図るという目的や、返済不要の給付金であることは、高等学校等就学支援金制度と同じです。

しかし、支給対象が「所得の低い家庭で養育される子供」に限定されているところは、約80%の高校生などが対象となる高等学校等就学支援金制度とは違います。

また、授業料以外の教育費負担を軽減する点も、授業料を負担する高等学校等就学支援金制度との違いです。

  • 所得の低い家庭の子供に限定
  • 授業料以外の教育費を支援する

関連記事

高校生等奨学給付金制度とは?支給日・振込日はいつ?母子家庭の受給は?

就学支援金制度の受給資格(対象者)

就学支援金制度の受給資格を得るには、在学要件、在住要件、所得要件という3つの要件をいずれも満たす必要があります。

在学要件とは、子供が在籍する学校に関する要件です。

子供が以下のいずれかの学校に在籍していることが要件となります。

就学支援金の対象者
  • 高校(高等学校):全日制、定時制、通信制のみ(専攻科と別科は対象外)
  • 中等教育学校の後期課程:専攻科と別科は対象外)
  • 特別支援学校の高等部
  • 高等専門学校(第1学年から第3学年まで)
  • 専修学校の高等課程
  • 専修学校の一般課程
  • 各種学校(高等学校入学資格者を入所資格とする国家資格者の養成施設及び指定の外国人学校)

受給対象から除外される子供

在学要件を満たしていても、以下のいずれかに当てはまる場合は、受給対象から除外されます。

対象者から除外される子ども
  • 在学要件を満たす高校などをすでに終了した子供
  • 在学期間が通算36ヶ月を超えた子供
  • 科目履修生
  • 聴講生など

在学期間については、定時制と通信制の在学期間は、1ヶ月を3/4ヶ月として計算します。

したがって、全日制は36ヶ月、定時制・通信制は48ヶ月を超えて在籍した場合、制度の対象から除外されることになります。

在住要件

在住要件とは、住んでいる場所に関する要件です。

子供が日本国内に住所を有していれば要件を満たします。

子供や親の国籍は問われません。

所得要件(年収・所得制限)

所得要件とは、子供の父母などの所得に関する要件です。

保護者の住民税(市町村民税所得割額と道府県民税所得割額)の合計が50万7,000円未満であれば、要件を満たします(平成30年6月以降)

保護者には、親権者だけでなく、子供の扶養義務がある未成年後見人、保護者がいない場合は子供自身や生計維持者も含みます。

年収で考える場合、原則として、世帯年収が約910万円未満であれば所得要件を満たします(910万円以上でも制度が利用できるケースについては後述します。)。

住民税(市町村民税所得割額と道府県民税所得割額)の確認方法

市町村民税所得割額と道府県民税所得割額は、いずれも住民税の一部です。

確認方法は、給与所得者と個人事業主で異なります。

確認方法
  • 給与所得者:市町村民税特別徴収税額通知書(毎年6月に勤務先から渡されます。)
  • 個人事業主:納税通知書(毎年6月に市区町村役場から郵送されてきます。)

また、住民税の課税証明書(市区町村役場で発行)でも確認できます。

なお、母子家庭のシングルマザーの住民税の非課税(免除)については、関連記事で詳細に解説しています。

関連記事

母子家庭の住民税:非課税世帯になるシングルマザーの年収はいくらまで?

年収が910万円以上でも利用できることがある

「世帯年収が910万円以上だと就学支援制度は利用できない」と思っている人が多いですが、勘違いです。

就学支援制度の要件は「所得」なので、年収が910万円を超えていても、各種控除が適用されて課税所得が所得要件を下回れば、制度を利用することができます。

所得控除については、関連記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

関連記事

母子家庭の税金対策:所得税が控除されるシングルマザーの年収は?

私学高校などに在籍する場合

就学支援金制度は、国立、公立だけでなく、子供が私学高校などに在籍する場合も対象となります。

なお、2014年3月以前から公立高等学校などに在籍している場合、公立高等学校授業料無償制度が適用されるので、授業料はかかりません。

就学支援金の支給金額

就学支援金には、以下の表のとおり支給限度額が設定されています。

授業料が支給限度額より低い場合は授業料を限度として支給され、限度額より高い場合は限度額が支給されます。

学校の種類支給額(月額)
  • 国立の高等学校
  • 国立の中等教育学校の後期課程
9,600円
  • 公立の高等学校(定時制)
  • 公立の中等教育学校の後期課程(定時制)
2,700円
  • 公立の高等学校(通信制)
  • 公立の中等教育学校の後期課程(通信制)
520円
国立の特別支援学校の高等部

公立の特別支援学校の高等部

400円
その他の支給対象の高等学校など9,900円

上の表のとおり、就学支援金は学校種別によって異なりますが、公立高校(全日制)では月額9,900円(年間で約12万円)が支給されるので、授業料は実質0円です。

支給期間の上限は36ヶ月です。

なお、定時制と通信制の在学期間は、在学月数を1ヶ月の3/4に相当する月数として計算します。

単位制高校、中等教育学校の後期課程、専修学校在籍の場合

子供が単位制高校、中等教育学校の後期課程、専修学校のいずれかに在籍している場合、就学支援金は履修単位数に応じて支給されます。

支給対象単位数の上限74単位
年間支給対象単位数30単位
1単位の支給額4,812円

4,812円を履修期間で割った金額が支給月額となります。

私立高校などに在学する場合の就学支援金の加算

子供が私立高校などに在学している場合、世帯の収入に応じて就学支援金が加算して支給されます。

私立高校などとは、具体的には以下の学校のことです。

私立高校
  • 私立高等学校
  • 私立中等教育学校の後期課程
  • 私立特別支援学校
  • 国立・公立・私立高等専門学校
  • 公立・私立専修学校
  • 私立各種学校

私立高校に対する就学支援金の支給額は、以下のとおりです。

年収の目安都道府県民税と市区町村民税の所得割額の合計額支給月額

(倍率)

約250万円未満0円(非課税)年額:29万7,000円

月額:2万4,750円

(2.5倍)

約250~350万円未満8万5,500円未満年額:23万7,600円

月額:1万9,800円

(2倍)

約350~590万円25万7,500円未満年額:17万8,200円

月額:1万4,850円

(1.5倍)

約590~910万円未満50万7,000円未満年額:11万7,000円

月額:9,900円

※2019年度

※いずれもサラリーマン世帯(両親の一方が働き、高校生1人(16歳以上)、中学生1人の子供がいる世帯の目安

※所得に応じて月額9,900円に1.5~2.5倍を掛けた金額が支給

就学支援金の申請

就学支援金を受給するには、申請が必要です。

申請先

子供が在籍する学校です。

新入生の場合、進学予定の学校です。

担任の先生に受給希望があることを伝え、申請方法や必要書類を教えてもらいましょう。

申請時期

新入生は、入学直後の4月に受給認定のための申請を行います。

進級生で前年度に認定されている場合は、6~7月頃に受給継続の申請を行います。

在校生は、毎年4~7月に、受給継続の申請が必要です。

学年提出時期
新入生3~4月
在校生(進級生)6~7月

申請の必要書類(提出書類)

受給認定の申請に必要な書類などは、以下のとおりです。

提出書類
  • 受給資格認定申請書:学校から配布される
  • 市町村民税所得割額・道府県民税所得割額が確認できる資料:市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書など
  • マイナンバーが分かる資料:マイナンバー通知カードのコピー、マイナンバーの記載のある住民票など
  • 収入状況届出書:学校から配布される

受給継続の申請に必要な書類などは、以下のとおりです。

受給継続申請のための提出書類
  • 収入状況届出書:学校から配布される
  • 市町村民税所得割額・道府県民税所得割額が確認できる資料:市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書など
  • マイナンバーが分かる資料:マイナンバー通知カードのコピー、マイナンバーの記載のある住民票など

その他にも追加で資料提出を求められることがあります。

高等学校等就学支援金の支給日・振込日

高等学校等就学支援金(私立高校などへの加算を含む)は、国が授業料を負担するための制度です。

子供の保護者などの口座に支給されるのではなく、学校に振り込まれて授業料に充当されるので、振込日や支給日は子供や保護者には通知されません。

ただし、授業料を一旦は子供やその保護者から全額徴収し、後日、就学支援金支給額を還付する学校もあり、その場合は、振込日や支給日を教えてもらえることもあります。

なお、学校の授業料が就学支援金の支給額を上回る場合、子供やその保護者が不足分を支払うことになります。

私立高校の対応はバラバラ

公立高校の場合、学校に就学支援金が支給されて授業料と相殺されますが、私立高校は対応が分かれます。

  • 前期の授業料は保護者が支払い、後期支払い分で相殺される
  • 一度は保護者が授業料を全額支払い、就学支援金に相当する金額が返金される

私立高校では保護者の口座に振り込まれる?

子供が私立高校などに在籍している保護者が「就学支援金が振り込まれた。」と話すのを聞いたことがある人もいるかもしれません。

しかし、就学支援金は学校に直接支給されて授業料に充てられる制度なので、保護者に振り込まれることはありません。

振り込まれたというのは、保護者が学校に支払った授業料のうち「支援金に相当する金額が返金された(振り込まれた)」ということです。

授業料と支援金に差額が発生した場合

学費の全額免除や一部免除などの制度を利用した結果、就学支援金の支給額が授業料を上回るケースがあります。

こうしたケースでは「差額がもらえるかもしれない。」と思う人もいますが、もらうことはできません。

就学援助制度とは

就学支援金制度は高校生などを対象とするものですが、子供が小・中学生の場合は、就学援助制度を利用することができます。

就学援助制度とは、経済的事情によりで就学が難しい小・中学生の父母などの援助を行う制度です。

子供が平等に義務教育を受けられることを目指す制度で、所得制限など一定の要件を満たすことで、授業料以外の幅広い費用を援助してもらうことができます。

就学援助制度については、関連記事で解説しています。

関連記事

就学援助制度とは?年収総額等の認定基準と援助金の支給日、デメリット

>>>「シングルマザー」の記事一覧に戻る

【参考】

アバター

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権
    離婚後単独親権に対する問題提起や批判は以前からありましたが、近年、欧米諸国などで採用されている離婚後…
  2. 専業主婦 離婚 準備
    「専業主婦(主夫)だけど離婚したい。でも、離婚後の生活が不安。」、「離婚したいが、専業主婦は離婚後に…
  3. 離婚協議書 公正証書
    協議離婚する場合、離婚することと諸条件について夫婦で話し合い、合意した内容を離婚合意書にまとめた上で…
  4. 離婚調停 相手方 準備
    「ある日突然、見知らぬ住所と差出人の名前が書かれた茶封筒が自宅のポストに届き、中を開けてみると「調停…
  5. 弁護士会照会制度
    離婚紛争を弁護士に依頼すると高額な費用がかかりますが、依頼によって得られるメリットもあります。 …
  6. モラハラ 離婚
    配偶者のモラハラ(モラルハラスメント)を理由に離婚したいと考える人は少なくありません。 しかし…
  7. 離婚調停 成立 調停条項
    離婚調停は、夫婦間で離婚やそれに伴う条件面の合意ができると調停調書が作成され、調停が成立します。 …
  8. 養育費 強制執行 手続き 流れ
    夫婦間で取り決めた養育費が支払われない場合の対応には、履行勧告、履行命令、強制執行があります。 …
  9. 離婚 弁護士費用 相場
    離婚問題を弁護士に依頼する場合にトラブルになりやすいのが、弁護士費用です。 「離婚 弁護士費用…
  10. 離婚調停 弁護士
    「離婚調停で弁護士は必要か」と聞かれたら、弁護士の立場からは「必要です。ぜひご依頼ください!」と答え…

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権

    選択的共同親権とは?法務省が検討する「離婚後の親権の選択制」の意味

  2. 専業主婦 離婚 準備

    専業主婦の離婚準備:仕事と生活費、親権や年金について分かりやすく解説

  3. 離婚協議書 公正証書

    離婚協議書の書き方:自分で作成する方法と公正証書の作り方(雛型付)

  4. 離婚調停 相手方 準備

    離婚調停の相手方が第1回期日までに準備すること(調停を申し立てられた人用)

ページ上部へ戻る