和解離婚とは?手続きと和解調書の条項は?離婚届の届出と戸籍は?

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離婚の方法は、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類ですが、このうち裁判離婚は、家庭裁判所が判決を下す判決離婚以外に和解離婚や認諾離婚という終わり方があります。

和解離婚は、離婚裁判の手続の中で離婚やその条件について夫婦が合意し、判決ではなく和解によって離婚を成立させる手続きです。

裁判離婚の終わり方は判決離婚、和解離婚、認諾離婚

裁判離婚とは、家庭裁判所が夫婦の離婚や離婚条件を判決で決める手続です。

ただし、全ての離婚裁判が判決によって終了するわけではなく、裁判手続の中で夫婦の合意ができて和解したり、被告が原告の請求を全て認めると主張したりしたときは、家庭裁判所が判決を下すことなく離婚が成立します。

裁判離婚の終わり方は、以下の3つあります。

  • 判決離婚
  • 和解離婚
  • 認諾離婚

判決離婚

判決離婚とは、離婚やその条件について夫婦間で合意できず、夫婦間に法定離婚事由が認められる場合に、家庭裁判所が判決で離婚やその条件を決める手続です。

法定離婚事由は、以下の5つです。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

法定離婚事由がないと、判決離婚は認められません。

判決離婚は、裁判離婚の終結方法として一番多く、また、世間一般では裁判離婚=判決離婚だと思っている人が多いものです。

離婚が成立するのは、離婚の判決が確定した時点です。

夫婦の一方または両方が、判決が確定する前に上訴(控訴)することで、高等裁判所が再審理することになります。

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認諾離婚とは

認諾離婚とは、被告(裁判を起こされた人)が、裁判手続において、原告(裁判を起こした人)の請求を全面的に認めることで離婚する手続きです。

被告が原告の請求を全面的に認めることを請求の認諾と言います。

請求の認諾により、判決離婚のように夫婦が対立して互いに証拠や資料を出し合って争うことも、和解離婚のように細かい条件面の調整で時間を費やすこともなく、離婚が成立します。

ただし、離婚裁判で離婚を目指すのは、夫婦間の協議でも調停での話し合いでも合意ができなかった紛争性の高い夫婦です。

また、子どもの親権者、養育費、面会交流、財産分与、年金分割の請求があるときは、法律上、認諾離婚が認められていません。

そのため、認諾離婚できるケースはごく限られています。

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和解離婚

和解離婚については、次の項から詳しく解説します。

和解離婚(裁判上の和解)とは

和解離婚とは、離婚裁判の手続において、夫婦が離婚やその条件について合意ができたときに、裁判上の和解によって離婚する手続きです。

「離婚裁判を起こすと、家庭裁判所が判決を出すまで争い続けなければならない。」と誤解している人がいますが、夫婦間の合意ができれば、裁判手続きのどの段階であっても、和解によって離婚することができます。

また、「裁判上の和解ができた後、裁判を取り下げて協議離婚しなければならない。」と勘違いされていることもありますが、裁判上の和解手続で離婚するのが和解離婚です。

和解離婚の条文

和解離婚は、人事訴訟法第37条第1項に規定されています。

離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。以下この条において同じ。)並びに請求の放棄及び認諾については、第19条第2項の規定にかかわらず、民事訴訟法第266条(第二項中請求の認諾に関する部分を除く。)及び第267条の規定を適用する。

民事訴訟法の準用が多くて分かりづらくなっていますが、解離婚は、離婚裁判の口頭弁論などの期日で行い(民事訴訟法第266条準用)、和解の内容を調書に記載したときは、その記載は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法第267条準用)と定められています。

和解により離婚が成立する時点

和解離婚は、人事訴訟法第37条(民事訴訟法第267条準用)により、和解の内容が和解証書に記載された時点で離婚が成立します。

判決離婚のように判決の確定を待つ必要はありません。

和解離婚の件数

裁判離婚の件数は、最高裁判所事務総局家庭局が作成した「人事訴訟事件の概況」で確認することができます。

2016年1月~12月の裁判離婚の既済件数と終わり方は、以下のとおりです。

既済合計 8,813件
判決 3,313件
和解 4,354件
取下げ 909件
その他 237件

引用:人事訴訟事件の概況―平成28年1月~12月―

和解離婚の件数は、判決離婚の件数よりも多いことが分かります。

裁判離婚というと判決離婚のイメージが強く、判決離婚で終わる件数が多いように思われがちですが、実は和解離婚による終局が一番多いのです。

和解離婚と協議離婚の違い

和解離婚と混同されやすいのが協議離婚です。

和解離婚と協議離婚は、夫婦の合意に基づいて離婚することは共通しています。

しかし、和解離婚が「離婚裁判の手続の中で、離婚やその条件について夫婦の合意ができて離婚する」のに対し、協議離婚は「夫婦の話し合いで離婚やその条件について合意し、裁判を起こさず離婚する」という違いがあります。

つまり、同じ夫婦の合意に基づく離婚であっても、合意に至るまでの過程が違っているのです。

また、和解離婚は「裁判上の和解内容が和解調書に記載された時点」、協議離婚は「離婚届が市区町村役場に受理された時点」で離婚が成立する点も違います。

和解離婚手続きの流れ

和解離婚の手続の前に、離婚裁判の流れについても触れておきます。

離婚裁判の手続きの流れ

一般的な離婚裁判の手続の流れは、以下のとおりです。

  1. 訴状作成・資料収集
  2. 訴訟提起(家庭裁判所に訴状などを提出し、裁判を起こす手続き)
  3. 第1回口頭弁論期日(主張・立証・尋問)
  4. 口頭弁論期日
  5. 結審(審理の終結)
  6. 判決

離婚裁判を起こす(訴訟提起する)と、第1回口頭弁論期日が指定され、その後、結審まで何度も口頭弁論期日が重ねられます。

第1回口頭弁論期日では、原告と被告が提出した訴状、証拠資料、答弁書などを確認するとともに、今後の裁判の進め方を確認して、次回期日を指定します。

第2回以降の期日では、原告と被告が互いに主張・立証や相手の主張に対する反論が行われます。

主張や証拠が出そろうと証拠調べの手続きに移り、当事者尋問や証人尋問が行われます。

審理が終結(結審)した後、1~2ヶ月程度で家庭裁判所が判決を下します。

判決では、離婚を認めるか否か、離婚を認める場合は親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など当事者の請求内容についての判断も示されます。

判決内容に不満があるときは、上訴(控訴)することで高等裁判所が再審理することになります。

和解離婚の手続の流れ

裁判上の和解ができるのは、裁判を起こしてから審理が終結するまでの間です。

訴訟提起した直後、主張と立証の途中、証拠調べが終わった後など、いつでも和解の話し合いを進めることができます。

また、裁判官が原告と被告の主張や状況などを考慮し、和解勧告を行うこともあります。

原告と被告が話し合う機会が設けられ、裁判官が和解の意思があるか否かを確認し、和解の余地があるときは隘路を特定して双方に検討や譲歩や求めたり、和解案を提示したりして話し合いによる解決を模索します。

和解が成立すると、和解したことが和解調書に記載され、和解離婚が成立します。

原告と被告の一方または両方が和解の意思がない、和解の意思はあるが合意に至らないときは、和解手続を終了して元の手続きを再開しますが、その後再び和解を求めることもできます。

和解手続には回数制限がなく、いつでも、何度でも和解を求めることができます。

ただし、離婚を先延ばしにするために合意に至る見込みがないのに和解を求め続けているなどの場合は、和解手続を勧めることが認められないこともあります。

原告と被告が決裂すると、家庭裁判所が判決で判断を下します。

和解離婚後の手続

和解離婚が成立した後は、成立した日を含めて10日以内に、市区町村役場へ届出を行わなければなりません。

和解調書が作成された時点で離婚は成立しているため、市区町村役場への届出は報告的届出です。

ただし、正当な理由なく届出機嫌を徒過すると、科料に処されることがあります。

和解離婚の届出先

届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場が届出先となります。

本籍地や所在地以外の市区町村役場に提出する場合、戸籍謄本1通を添付しなければなりません。

届出に必要な書類等

  • 和解調書謄本
  • 離婚届
  • 本人確認資料(運転免許証、パスポート、顔写真付の住民基本台帳カードなど)
  • 認印
  • 戸籍謄本(本籍地や所在地以外に提出する場合)

離婚届の記載方法は、関連記事を参考にしてください。

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和解離婚と戸籍の記載

和解離婚したことを市区町村役場に届け出て受理されると、戸籍に「和解により離婚」と表示されます。

裁判離婚(判決離婚)した場合は「裁判により離婚」と表示されるため、戸籍の表示を意識して和解離婚を望む人も少なくありません。

和解離婚と弁護士

和解離婚で注意しなければならないのが、弁護士です。

裁判離婚では、多くの人が弁護士に依頼しています。

裁判離婚では法律的な知識が必要になり、手間や時間もかかるため、弁護士に依頼して仕事をさせるのも一つの方法ですが、和解離婚を考える場合は、主張を弁護士任せにせず、自分で慎重に検討する必要があります。

相手の主張に押されて不利な条件での和解案を受け入れる、提示された条件で和解すると離婚後に紛争が再燃することを認識しつつ応じる、判決離婚が望ましいと思い込んで和解手続きに応じないなどのケースが多発しているからです。

中には、弁護士報酬を少しでも増やす目的で、手続きをいたずらに長引かせようと和解の希望と交渉決裂を繰り返すケースもあります。

こうした問題は、離婚裁判を弁護士任せにしている場合に起こりがちです。

離婚裁判について弁護士に依頼したときは、少なくとも期日前に打ち合わせを行い、期日後に事後報告するよう求めましょう。

夫婦にとっての離婚裁判は「人生の一大事」ですが、弁護士にとっては「ビジネス」です。

特に、弁護士人口増加により刑事事件や民事事件で稼げなくなった弁護士にとっては、格好の新たな稼ぎ口です。

弁護士に依頼したのに臨んだ結果が得られず、高額な費用を請求されたということにならないよう、注意してください。

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