養育費とは?養育費の相場は算定表で計算?支払義務はいつまで?

養育費 相場 算定

養育費は、子どもが生活するために必要な費用であり、親が子どものために負担する義務を負う費用です。

父母が婚姻生活を維持している期間は婚姻費用の一部として父母が当然に負担していますが、父母が離婚した後は、養育費を誰がいつどれだけ負担するかという問題が表面化します。

養育費とは

養育費とは、未成熟の子どもが生活するために必要な費用です。

養育費には、子どもの衣食住にかかる費用、教育費、医療費など日常生活にかかる費用全般が含まれています。

養育費の法的根拠は、父母の婚姻中は「親権者の子どもを監護養育する義務」と「親の子どもに対する扶養義務」です。

親権者の子どもを監護養育する義務(民法820条)

民法820条では、親権者が子どもを監護養育する義務が定められています。

親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

(民法820条)

親権者が子どもを監護養育する義務を果たすためには、当然、子どもの生活にかかる費用(養育費)を負担することになります。

父母が婚姻関係を維持している間は、父母の両方が、親権者として子どもの生活費を負担する義務を負います。

親の子どもに対する扶養義務(民法877条1項)

親の子どもに対する扶養義務は、民法877条1項に規定されています。

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

(民法877条1項)

直系血族とは、祖父母、父母、子、孫など、直系(お互いに先祖と子孫)の関係にある血縁者です。

離婚後の養育費の法的根拠は親の子どもに対する扶養義務

日本は離婚後単独親権制を採用しているため、離婚後は父母の一方が子どもの親権者となり、もう一方は非親権者となります。

民法820条の「親権者が子どもを監護養育する義務」は、親権者となった父または母のみに課せられることになり、非親権者がこの義務を負担する必要はなくなります。

一方で、親の子どもに対する扶養義務(民法877条1項)は、血のつながった親子関係にある(直系血族である)ことで生じる義務であり、子どもの親権者か否かは関係がありません。

したがって、離婚して子どもの親権者にならなかった親も、親権者になった親と同じく子どもに扶養義務を負い、子どもの監護に要する費用を分担する義務を負うことになります。

なお、民法766条1項では、離婚時、子の監護に要する費用の分担を父母の協議で定めると規定されています。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

(民法766条1項)

親の子どもに対する扶養義務は生活保持義務か生活扶助義務か

扶養義務には、生活保持義務と生活扶助義務があります。

  • 生活保持義務:自分の生活水準と同じレベルの生活を被扶養者に保持させる義務
  • 生活扶助義務:自分生活が困らない範囲で、生活に困っている被扶養者を扶助する義務

親の子どもに対する扶養義務は、子どもの生活費という性質から、生活保持義務とされています。

父母が夫婦として婚姻生活を維持している間は、夫婦の扶助義務(生活保持義務)と親の子どもに対する扶養義務に基づいて、家族全員が同じレベルの生活水準を維持できるようにする必要があります。

父母が離婚した後は、親権者は、親権者として子どもを監護養育する義務と子どもに対する扶養義務に基づいて、子どもに自分と同じ水準の生活を維持させる義務を負います。

また、非親権者も、子どもに対する扶養義務(生活保持義務)に基づいて養育費を支払うことになります。

養育費の相場と計算

養育費は、父母が婚姻中であれば婚姻費用に含め、父母の離婚後は養育費として不安することになります。

父母の収入や資産、子どもの人数や年齢、教育費、医療費など一切の事情を考慮して算定されるため、一定の相場はありません。

ただし、養育費の支払義務が生活保持義務であることから、義務者は、自分の生活と同じ水準の生活を子どもに保持させるだけの養育費を負担する必要があります。

現在、家庭裁判所の実務では、養育費の算定について、標準的算定方式とそれに基づく算定表が運用されています。

標準的算定方式とは、簡易かつ迅速に養育費を算定するための方法です。

父母の総収入が分かれば、専門的な知識や経験がなくても、算定方式の計算式に当てはめるだけで養育費を算定することができます。

また、標準的算定方式に基づく算定表が裁判所ウェブサイトなどで公開されています。

算定表を用いることで、父母が自ら標準的な養育費を算定することができ、養育費について父母で協議する資料としたり、家庭裁判所の調停や審判を利用したときに提示される養育費の相場を予測したりできます。

ただし、算定表で算出できるのは標準的な養育費であり、個別事情を養育費の金額に反映させたい場合は、算定表で算出された養育費を基礎として調整する必要があります。

裁判所ウェブサイト:養育費・婚姻費用算定表

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養育費の支払時期(いつから、いつまで)

養育費について取り決める場合、養育費の支払時期が問題となります。

養育費の支払時期はいつから

養育費は、未成熟な子どもの生活にかかる費用であり、親が生活保持義務の範囲で負担するべきものです。

したがって、養育費の支払義務がある親よりも子どもが低い水準の生活を送っているときに、養育費の支払義務が生じることになります。

しかし、離婚して子どもと離れて暮らす親が、子どもの生活水準を把握することは難しいものです。

そのため、子どもと同居する親から養育費の請求があったときから支払義務が生じることとするのが一般的です。

家庭裁判所の手続きでも、調停や審判の申立てがあったときから支払義務が生じたとする運用がされています。

養育費の支払時期はいつまで

原則、子どもが成人に達するときまでです。

しかし、大学や大学院に進学するなどの事情により、成人に達しても自力で働いて生活費を稼ぐことができない場合は、扶養義務に基づいて養育費を請求することができます。

また、病気やケガ、障害などによる場合も同様です。

養育費の支払時期

養育費が子どもの生活にかかる費用であることを考えると、日常生活のいたるところで養育費が発生していますが、それを逐一支払うことは現実的ではありません。

また、半年や一年単位で支払うこととすると、養育費が必要な時期に支払が行われないことになりかねません。

したがって、通常は1ヶ月単位で支払うこととなっています。

家庭裁判所の調停や審判でも、「毎月何万円を、月末限り支払う」などと取り決められます。

未成熟子と未成年者の違い

未成熟子(未成熟の子ども)とは、経済的に自立できていない子どものことです。

成人していても、経済的に自立していなければ未成熟子です。

親は未成熟の子どもに対して扶養義務(生活保持義務)があります。

一方の未成年者とは、成年に達していない、つまり、未成年の子どものことです。

経済的に自立しているか否かに関わらず、成年に達していなければ未成年者です。

日本では、未成年者は親など法定代理人の親権に服し、医師などの国家資格の欠格事由とされています。

養育費と扶養料の違い

扶養料とは、扶養義務者が扶養権利者に対して支払う生活費などのことです。

親と未成熟な子どもとの関係でいえば、扶養義務者である親が、扶養権利者である子どもに対して支払う費用です。

未成熟の子どもに対する生活費であるところは、養育費と同じです。

また、法的根拠も、養育費の支払根拠と同じ民法877条1項です、

養育費と扶養料の違いは、請求の主体です。

  • 養育費:監護親
  • 扶養料:子ども

養育費は、子どもを監護する親が監護していない親に対して請求するのに対し、扶養料は、子ども自身が親に対して請求するという違いがあります。

家庭裁判所が取り扱う家事事件には養育費請求事件と扶養料請求事件の両方があり、いずれも別表第2事件で手続きに大きな違いはありませんが、子どもの生活費を請求する場合は、養育費請求事件が申し立てられることが多くなっています。

養育費を請求しない(払わない)取り決めをした場合

離婚時、「養育費は請求しない。」という取り決めを行う父母がいます。

養育費が子どもの生活費であることを考えると、子どもの意思を無視して父母が養育費を請求しない取り決めをすることは問題ですが、現実問題として取り決められることがあります。

例えば、「面会交流を拒否する代わりに養育費も請求しない。」、「養育費を払わない代わりに面会交流も請求しない」という、面会交流と養育費のバーター取引きをする父母は少なくありません。

しかし、父母が養育費を請求しない取り決めをしても、養育費請求調停や審判の申立ては可能で、手続を通して養育費を取り決めることもできます。

また、子どもから非監護親に対して扶養料を請求することも妨げられません。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
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