養育費請求調停の期間と流れは?家庭裁判所への申立て方法と不成立後

養育費 調停
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父母が離婚するときは、子の監護に関する事項の一つとして子どもの養育費を取り決めます。

離婚時に養育費の取り決めをせず、離婚後に父母間で養育費の合意ができないときは、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てる方法により、養育費を取り決めることになります。

なお、離婚前に離婚後の養育費を取り決める場合は、夫婦関係調整(離婚)調停を家庭裁判所に申し立てるか、離婚訴訟を起こす方法により請求する必要があり、養育費請求調停の申立てはできません。

離婚前の養育費請求については、関連記事で詳しく解説しています。

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養育費請求調停の家庭裁判所への申立て

離婚後に家庭裁判所で子どもの養育費を取り決めるには、養育費請求調停または審判の申立てを行います。

申立権者

父または母です。

養育費は子どもの生活にかかる費用ですが、請求は監護親から非監護親に対して行う必要があり、相手方は子どもではなく父または母(申立人ではない人)となります。

監護親は、実際に子どもを監護養育している親であり、必ずしも親権者とは限りません。

また、親権者でなくても、子どもを監護養育していれば、養育費支払義務のある相手に養育費を請求することができます。

なお、婚姻期間中の養育費は、婚姻費用(夫婦の共同生活の維持にかかる費用)の中に含まれており、別居中の養育費を請求する場合は、婚姻費用分担調停または審判を申し立てる方法により請求します。

離婚時に離婚後の養育費を取り決めるときは、夫婦関係調整(離婚)調停の中で養育費を主張することは、冒頭に書いたとおりです。

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申立先(管轄の家庭裁判所)

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または、夫婦が合意で定める家庭裁判所です。

家事事件手続法第245条第1項では、家事調停の管轄について以下のとおり規定されています。

家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

(家事事件手続法第245条第1項)

通常、家事調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。

しかし、当事者(養育費請求調停の場合は父または母)が、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所以外で調停を行うことに合意した場合、その裁判所で調停を行うことができます。

これを合意管轄といい、申立てを行う家庭裁判所に管轄合意書を提出する方法により、夫婦が管轄に合意していることを示します。

申立ての必要書類

養育費請求調停の申立ての必要書類は、以下のとおりです。

  • 申立書:原本1通とコピー2通(裁判所用1通、相手方送付用1通、申立人用1通)
  • 申立事情説明書:原本1通
  • 連絡先等の届出書:1通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 養育費を請求する子どもの戸籍謄本(全部事項証明書):1通
  • 父母の収入に関する資料:源泉徴収票のコピー、給与明細のコピー、確定申告書のコピーなど

申立書などの書式は、家庭裁判所の窓口で交付してもらうか、裁判所ウェブサイトからダウンロードして入手します。

父母の収入に関する資料は、申立時には申立人の収入に関する資料を提出すれば足ります。

しかし、調停で養育費を算定するときに相手方の資料も必要になるため、前もって提出できていると調停がスムースに進みます。

調停開始後は、随時、子どもの学費、習い事の費用、医療費など個別事情に関する資料の提出を求められることがあります。

申立てにかかる費用

養育費請求調停の申立てにかかる費用は、以下のとおりです。

  • 収入印紙:子ども1人につき1200円分
  • 郵便切手:各家庭裁判所による

申立てにかかる費用は、1件につき収入印紙1200円分です。

養育費請求調停では、子どもが複数いる場合はそれぞれに申立てを行う必要があり、養育費を求める子どもの人数分だけ費用を準備しなければなりません。

申立て時に提出を求められる郵便切手の額は各家庭裁判所で決められているため、事前に申し立てを行う家庭裁判所に確認しておく必要があります。

申立ての窓口

家庭裁判所の家事部です。

家庭裁判所によっては、家事係や調停センターなどという名称になっているところもあるので、総合受付で確認しておくと確実です。

申立権者である父または母が、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または合意管轄の家庭裁判所に必要書類と費用を持参すると、窓口で書面審査や費用の確認が行われた上で申立てが受理されます。

書類に不備があればその場で修正を指示され、必要書類や費用が不足していれば追加提出を求められます。

申立てが受理された後の流れ

申立てが受理された後は、家庭裁判所が調停委員会のメンバー(担当裁判官1人、調停委員2人)を決めた上で調停の初回期日(申立ての受理から1ヶ月前後の平日)を指定します。

調停の初回期日は、申立ての受理から2週間前後で、申立人と相手方に調停期日通知書を郵送する方法により通知されます。

相手方に対しては、申立ての内容を知らせて意見を述べる機会を与える目的で、調停期日通知書と一緒に申立書のコピーや進行に関する照会書が郵送されます。

調停期日の変更

調停の初回期日については、申立て時に日時の希望を伝えることができますが、調停委員会や調停室の空き具合などによって調整されるため、必ずしも希望通りの日時に決まるわけではありません。

また、相手方は、調停期日通知書が届いて初めて調停期日を知ることが多く、指定された期日に都合がつかないことがあります。

指定された調停期日では都合が悪く出頭できないときは、調停期日通知書に記載された担当の裁判所書記官に電話連絡し、期日の変更を申し出る必要があります。

必ず希望の日に変更されるわけではありませんが、いくつか候補日を挙げておけばその中で調整してもらうことは可能です。

養育費請求調停の流れと期間

養育費請求調停を含む家事調停は、申立人と相手方が交互に調停室に入室し、調停委員に主張や事情を口頭で説明する方法により進行するため、原則、申立人と相手方が同じ期日に同じ家庭裁判所に出頭することになります。

家事調停では、申立人と相手方の呼出時間をずらす、異なる待合室に案内する、待合室から調停室への動線を工夫するなど、当事者同士が家庭裁判所内で鉢合わせしてトラブルにならないよう配慮されていますが、不安がある場合は事前に伝えておくと、家庭裁判所の職員が警備する、調停委員が待合室から調停室まで同行するなど対応してもらえることがあります。

ただし、特別な事情(父が母に暴力を振るう可能性が高い、母が父の顔を見ると不安定になるおそれが高いなど)がない限り、父母で別の期日が指定されることはありません。

養育費請求調停の流れは、以下のとおりです。

調停の初回期日に出頭

調停期日通知書に記載された日時に家庭裁判所へ出頭し、同書面に記載された窓口で調停期日通知書を見せて受付を済ませます。

受付が終わると待合室へ案内されるので、調停委員が呼びに来るまで待機します。

申立人待合室と相手方待合室は別ですが、トイレは男女で隣接していますし、エレベーターの数も限られているので、相手と鉢合わせしたくないときは調停が始まるまで待合室にいる方が良いでしょう。

調停委員から調停の説明を受ける

養育費請求調停の初回期日には、調停委員から以下の内容が説明されます。

  • 調停は裁判官1人と調停委員2人(男女各1人)で構成される調停委員会が担当すること
  • 調停は非公開で行われること
  • 調停委員、裁判官、調停手続に関わる裁判所の職員には守秘義務が課せられていること
  • 調停は、申立人と相手方が交互に調停室に入室して事情や主張を口頭で説明し、それを調停委員が相手に伝える方法により進行すること
  • 養育費の性質
  • 養育費請求調停は申立人と相手方の話し合いの場であり、調停委員会が判断することはなく、お互いの合意により解決する必要があること
  • 養育費について調停で合意した内容は法的な効力を持つこと
  • 合意できないときは調停不成立で終了し、審判移行すること

調停委員による冒頭の手続説明は、調停委員が申立人と相手方を交互に調停室へ呼んで行います。

当事者を調停室に同席させて説明を行うことを推進している家庭裁判所もありますが、同席を拒否すれば強要されることはありません。

通常、養育費請求調停は男女各1人の調停委員によって進行されます。

調停委員会を構成する裁判官が調停に同席するのは、調停の話し合いが難航したときや調停の終了時などが多くなっています。

ただし、調停の進行については、随時、調停委員から裁判官に報告されています。

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調停委員に主張や事情を説明する(養育費請求調停で聞かれること)

養育費請求調停の初回期日では、まず、申立人が、養育費を請求する動機や事情を調停委員に口頭で説明します。

説明が終わると調停室を退室して待合室で待機し、代わりに相手方が調停室に入室し、養育費の請求を受けたことに対して主張や事情を説明します。

調停委員に説明を求められる主な内容は、以下のとおりです。

  • 調停申立ての動機・経緯(調停を申し立てられたことに対する意見や主張、申立人の主張に対する反論)
  • 現在の生活状況(子どもの監護状況、子どもの状況、夫婦の収入など)
  • 希望する養育費の額や支払い開始時期・方法

養育費は子どもの生活にかかる費用なので、子どもの生活状況や監護状況について詳細に聞かれることになります。

特に、学費、習い事の経費、病気やケガの治療費など金銭的な内容を細かく聞かれることになるので、事前に金額等を確認し、関係する資料を持参しておくと説明がしやすくなります。

申立人と相手方が1回ずつ調停委員に説明をした後は、30分を目安に交互に調停室へ入室して、調停委員から相手の主張を聞き、それに対する主張を述べることになります。

1回の調停は午前または午後の2~3時間であり、通常、申立人と相手方が各2~3回ずつ調停委員と話すと終了時間がきます。

算定表に基づく養育費の算出

申立人と相手方が養育費の意義や支払義務について理解して納得しており、双方の収入に関する資料が提出されている場合、調停委員が養育費の算定表を用いて標準的な養育費を算定します。

算定結果は申立人と相手方に伝えられ、それを踏まえて話し合いを続けることになります。

養育費の意義や支払義務について理解や納得ができていない場合、調停委員から説明がなされます。

例えば、相手方が「相手が勝手に離婚を希望し、子どもを引き取って離婚したのだから、養育費を請求される筋合いはない。」、「子どもとの面会交流をさせてもらえないのに、養育費なんて支払えない。」などと主張した場合、調停委員から養育費について説明がなされ、主張の変更を促されることがあります。

なお、収入に関する資料が提出されていない場合は算定表が使用できず、資料提出を求められて期日が終わります。

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次回調停期日の指定

調停の終了時間までに父母の合意がまとまらないときは、次回調停期日が指定されます。

次回調停期日は、通常、初回調停期日から約1ヶ月後に指定されます。

当事者双方、調停委員会、裁判所の都合を調整する必要があることに加え、当事者双方に主張の整理や資料の準備を行う期間を設けるためです。

短い期間で次回調停期日を指定するよう求めた場合、特別な事情があれば考慮されることはあるものの、指定されるのは早くても2~3週間程度になります。

次回調停期日指定の前後で、調停委員から、期日の到達点や次回期日までの課題の確認(資料提出の指示など)が行われます。

口頭で伝えられるだけなので、指示事項が多いときなどはメモをしておくことが大切です。

調停の終了(調停成立、取下げ、調停不成立など)まで期日が繰り返される

第2回期日以降の調停期日の流れは、以下のとおりです。

  • 前回期日の到達点の確認
  • 期日間における事情や主張の変更の有無と内容の確認
  • 調停進行(父と母が調停委員に主張を説明する、調停委員が収入に関する資料を算定表に当てはめて調停案を示すなど)
  • 次回期日の指定(期日の到達点や次回期日までの課題の確認)

原則、養育費請求調停は、父母の合意ができて調停が成立する、申立人が申立てを取り下げる、父母の合意ができる余地がなく調停が不成立となるまで、期日が繰り返されます。

養育費請求調停にかかる期間

養育費請求調停にかかる期間は、父母の合意がいつできるかによって大きく異なります。

調停申立ての段階で父母の合意が概ねできており、合意内容を調停調書にする目的で調停を申し立てた場合、かかる期間は、申立てから第1回期日までの期間(1ヶ月)だけです。

一方で、父母間の対立が激しい場合、期日を重ねて調整を図ることになるため、長い期間がかかります。

ただし、子どもの生活にかかる費用という養育費の性質上、いつまでも引き延ばすべきではなく、通常は第3回期日で調停成立の見込みがない場合、調停委員会が調停を不成立として審判移行させることが多くなっています。

この場合の養育費請求調停にかかる期間は、申立てから不成立まで約4ヶ月です。

養育費請求調停に欠席した場合

養育費請求調停を含む家事調停は、調停期日への出頭を当事者に強制する手段がありません。

相手方が調停期日を無断で欠席したときは、申立人から主張や事情を聴取した上で次回期日が指定されます。

次回期日も欠席の可能性が高いときは、家庭裁判所調査官による出頭勧告(相手方に調停期日への出頭を促す手続き)が行われることもありますが、あくまで勧告であり強制力はありません。

出頭勧告を経ても相手方が欠席を続け、調停委員会が調停手続では養育費を取り決めるのは難しいと判断した場合、調停は不成立で終了して自動的に審判へ移行します。

なお、調停期日前に、相手方が欠席する旨を家庭裁判所に連絡してきた場合、調停期日まで日があれば期日が変更されます。

調停期日が迫っていれば期日を維持して申立人だけから主張や事情を聴取し、当事者双方が出頭できる日に第2回期日が指定されます。

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養育費請求調停が不成立になると審判移行する

養育費請求調停は、家事事件手続法別表第2に掲示された事件、いわゆる「別表第2事件」の一つです。

別表第2事件とは、当事者間に紛争が存在し、当事者の協議による解決がまずは望まれるものの、当事者間で解決できないときは家庭裁判所が判断すべき事件類型です。

別表第2事件では、当事者の協議による解決を目指す調停と、家庭裁判所が判断を下す審判の両方を利用でき、また、調停が不成立になると自動的に審判に移行します。

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養育費請求調停が不成立になった場合

養育費請求調停が不成立で終了すると、自動的に審判手続きに移行します。

養育費請求審判では、裁判官が父母から養育費について主張や事情を聴取し、収入に関する資料や子どもの状況に関する資料の提出を指示します。

そして、父母の主張や提出資料などを総合的に審理し、養育費の額、支払時期、支払い方法などについて判断を示します。

審判結果に不服があるときは即時抗告ができます。

即時抗告すると、高等裁判所が養育費について再審理を行います。

審判結果が当事者双方に告知された日から2週間が経過すると審判が確定し、審判結果に基づいて養育費の履行を促す履行勧告、履行を命令する履行命令、履行を強制する強制執行の手続きが利用できるようになります。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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