幼児教育無償化の最新情報!私立幼稚園・預かり保育・給食・6歳は対象?
- シングルマザー
最終更新日: 2019.07.12
2019年10月から、幼児教育・保育の無償化がスタートします。
子育て世代にとってはありがたい制度ですが、「未就学児のいる全ての家庭で、幼稚園の費用が0円になる」というわけではありません。
子供の年齢、親の所得(住民税非課税世帯)、月額の上限金額など、「無償化」には様々な条件が設けられているのです。
そのため、幼児教育・保育無償化の条件を知っておかないと、条件を満たさず無償化のメリットを受けられないということになりかねません。
目次
幼児教育・保育の無償化とは
幼児教育・保育の無償化とは、幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3~5歳児クラスの子供などの利用料が無償化される(無料になる)制度です。
目的は、以下のとおりです。
「幼児教育の重要性に鑑み、すべての子供に質の高い幼児教育を保障することを目指すもの」
引用:平成29年7月31日幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議
2018年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」に含まれる国の施策で、2019年5月10日に「改正子ども・子育て支援法」が可決・成立したことにより、2019年年10月からスタートすることが決まりました。
無償化の話が出た当初は2020年4月の開始を目指すと言われていたので、半年前倒しになったかたちです。
幼児教育・保育無償化は「完全な無償化」ではない
「無償化」と聞くと、「全ての子供の幼児教育にかかる費用が0円になる」ことをイメージすると思いますが、今回の幼児教育・保育無償化は、「完全な無償化」ではありません。
冒頭に書いたとおり、無償化には条件が設定されており、それらの条件を満たさないと幼児教育にかかる費用が無償にはならないのです。
内閣府ウェブサイトでは、以下のとおりアピールされています。
幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子供たち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子供たちの利用料が無料になります。
この説明だと、0歳から2歳児クラスまでの子供の利用料が無償化されるのは「住民税非課税世帯だけ」ということは分かりますが、その他の条件ははっきりしません。
しかし、内閣府や文部科学省のウェブサイト、幼児教育・保育の無償化に関する説明資料を読むと、様々な条件がちりばめられています。
以下、幼児教育・保育の無償化の内容と条件について、利用する施設ごとに一つひとつ解説していきます。
幼児教育・保育無償化:幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する場合
まずは、子供が幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する場合です。
利用施設
|
対象者
幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子供たちの利用料が無償化されます。
制度の対象となるのは、3歳から5歳までの全ての子供です。
6歳は無償化の対象外?
「3歳から5歳まで」と明記されているので、「6歳は無償じゃないのか」と思うでしょう。
しかし、制度の対象となる「3歳から5歳まで」というのは、「子供が満3歳になった後の4月1日から、小学校入学前までの3年間」という意味です。
したがって、子供が3歳の誕生日を迎えた後の4月1日から3年間なので、年度途中で6歳になっても、その年度の3月までは無償化が適用されます。
この点、大津市の説明が分かりやすいので引用しておきます。
幼児教育・保育の無償化では、小学校就学前の3年間分の保育料を無償化することを基本的な考え方としております。このため、保育所等を利用する子供について、年度途中に満3歳になっても、翌年度の4月からの利用料が無償化され、また、年度途中に満6歳になっても、その年度の3月までの利用料は無償となります。
引用:大津市
満3歳から無償化されるわけではない
「なんだ、子供が6歳になっても利用料は無料なのか、良かった。」と安心したと思いますが、ここで無償化の開始時期に目を向けてください。
上で引用した説明資料では「子供が満3歳になった後の4月1日から」と記載されています。
つまり、無償化されるのは、子供が満3歳になったときではなく、満3歳になった後の年度初めからです。
ただし、幼稚園については、入園した時期に合わせて満3歳から無償化されることになっています。
具体例で無償化の始まりと終わりを確認
令和元年10月1日に満3歳になる子供を例にして、幼児教育・保育無償化の始まりと終わりを確認しておきましょう。
時期 | 子供の年齢と無償化の状況 |
令和元年10月1日 | 子供が満3歳になる この時点では保育園などの利用料は無料にはならない |
令和2年4月~ | 「子供が満3歳になった後の4月1日から」という条件に当てはまる 令和2年4月分の利用料から無償化 |
令和2年10月1日 | 子供が満4歳になる 無償化は継続 |
令和3年10月1日 | 子供が満5歳になる 無償化は継続 |
令和4年10月1日 | 子供が満6歳になる 「年度途中に満6歳になっても、その年度の3月までの利用料は無償」なので、無償化は継続 |
令和5年3月 | 無償化期間が終了 |
令和5年4月 | 保育園などの利用料がかかるようになる |
無償化の範囲
幼稚園以外の施設の利用料は無料です。
幼稚園の利用料には月額25,700円という上限が設定されており、上限を超える分は自己負担となります。
通園送迎日・食材料費(給食費)・行事費などはかかる
幼児教育・保育の無償化は、原則として、施設の利用料が無償化される制度なので、通園送迎費、食材料費、行事費などは支払う必要があります。
ただし、以下の条件に当てはまる子供は、おやつやおかずなど副食の費用が免除されます。
|
住民税非課税世帯は0歳から2歳までの子供の利用料も無償
住民税非課税世帯は、0歳から2歳までの子供を保育所などに預けた場合でも、利用料がかかりません。
住民税非課税世帯とは、世帯全員の住民税(所得割と均等割の両方)が非課税の低所得世帯です。
住民税が非課税になるのは、以下のような世帯です。
|
関連記事
第2子以降の利用料
子供が2人以上いる世帯については、保育所などを利用する1番上の子供を第1子として、第2子(0歳から2歳まで)は利用料が半額、第3子以降は無償となります。
なお、世帯年収が360万円未満の場合、第1子の年齢も問われません(第1子が小学生以上でも利用料が軽減されます)。
幼児教育・保育無償化:幼稚園の預かり保育を利用する場合
次に、幼稚園の預かり保育を利用する場合です。
対象施設
対象となる施設は、幼稚園です。
対象者
保育の必要性の認定事由に当てはまる子供です。
幼稚園の預かり保育について無償化の対象となるには、住んでいる市区町村から「保育の必要性の認定」を受けなければなりません。
保育の必要性とは
保育の必要性については、大津市の説明が分かりやすいです。
保育の必要性の認定は、保護者が、「月64時間を越えて就労している」「母親が出産の前後である」「病気、けがをしている」「病気や心身に障害がある親族を常時介護している」「求職活動をしている」などの要件に該当する場合に、保護者からの申請に応じて市がその状況と利用施設に応じた区分で認定を行うものです。
引用:大津市
まとめると、以下のようになります。
保育の必要性 | 具体的な内容 |
就労 | 雇用形態に関わらず、月64時間を超えて就労している場合 一時預かりで対応できる場合は対象外 |
妊娠・出産 | 第2子以降の妊娠が分かった場合 出産して上の子の世話が十分にできなくなった場合 |
病気・けが | 自分自身の病気や怪我で、子どもの世話ができない場合 |
心身に障害のある親族の介護 | 障害のある親族の介護があり、子供の世話ができない場合 |
求職活動中 | 求職活動中で、子供の世話ができない場合 |
原則として、子供が通っている幼稚園を介して申請することになります。
基本的には認可保育所の利用と同じような条件ですが、市区町村によって異なることもあるので、住んでいる地域の市区町村に確認が必要です。
保育の必要性の注意点
上で示した要件を満たしたとしても、子供の祖父母などと同居して子供の世話を任せているような場合、「保育の必要性があると認められない可能性があります。
保育の必要性の認定では、「同居の親族その他の者が当該児童を保育することができる場合、その優先度を調整することが可能」とされているからです。
この点は、各地方自治体ごとに基準が異なる可能性があり、制度開始後に確認して追記します。
無償化の範囲
預かり保育の利用日数に応じて、月額11,300円を上限として利用料が無償化されることになります。
幼稚園の利用料の無償化に加えて、預かり保育の利用料が無償化されます。
つまり、最大で37,000円(幼稚園の利用料25,700円+預かり保育の利用料11,300円)が無償からされるということです。
幼児教育・保育無償化:認可外保育施設等を利用する場合
最後に、認可外保育施設などを利用する場合です。
対象施設
|
対象者
幼稚園の預かり保育を利用する場合と同じで、3歳から5歳までの子供のうち、保育の必要性の認定事由に当てはまる子供です。
保育の必要性の認定については、幼稚園の預かり保育の項目で解説しているので割愛します。
無償化の範囲
3歳から5歳までの子供は、月額37,000円を上限として、利用料が無償化されます。
住民税非課税世帯の場合、0歳から2歳までの子供についても、月額42,000円を上限として利用料が無償化されることになっています。
幼児教育・保育無償化の気になるポイント【最新情報】
幼児教育・保育無償化の制度について解説してきましたが、最後に、制度に関して気になるポイントをまとめておきます。
幼児教育・保育無償化の「無償化」の内容
上で解説しましたが、視覚的に見た方が分かりやすいと思うので、内閣府が公表している「幼児教育・保育の無償化の主な例」を示しておきます。
出典:内閣府
6歳の子供は無償化の対象?
無償化の期間は、「子供が満3歳になった後の4月1日(年度初め)から、小学校入学前までの3年間(年度終わりまで)」です。
年度(4月から翌年3月まで)の途中で6歳になったとしても、その年度の3月までは無償化が継続されることになります。
ただし、幼稚園の場合は、入園した時期から無償化が始まることになる見込みであり、入園先に事前確認が必要です。
私立幼稚園の利用料は無償化の対象?
幼児教育・保育の無償化は、公立か私立かによって差を設けておらず、私立幼稚園の利用料も無償化の対象です。
ただし、幼稚園の利用料が無償化されるのは月額25,700円までです。
月額の上限を超える部分が自己負担となることは、覚えておきましょう。
給食費は無償化の対象?
無償化の対象ではありません。
給食費だけでなく、通園や送迎にかかる費用、給食費以外の食材料費、行事にかかる費用などは自己負担です。
ただし、世帯年収が360万円未満相当の世帯の子供や、全世帯の第3子以降の子供については、副食費用が免除となります。
幼稚園の預かり保育は無償化の対象?
保育の必要性があると認定された場合、幼稚園の預かり保育も無償化の対象となります。
月額11,300円を上限として預かり保育の利用料が無償化されます。
幼稚園の利用料が月額25,700円より安い場合は差額がもらえる?
もらえません。
また、差額を他の幼児教育や保育に充てることもできません。
所得制限はある?
制度の目的が「すべての子供に質の高い幼児教育を保障することを目指す」ことであり、所得制限は設けられていません。
ただし、住民税非課税世帯については無償化の範囲や額が優遇されています。
また、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設を利用するには「保育の必要性の認定」を受ける必要があり、認定手続きの中で就労状況などがチェックされることになります。
専業主婦がいる家庭でも、保育の必要性があると認められる?
保育の必要性の認定で考慮されるのは、①就労、②妊娠・出産、③病気や怪我、④心身に障害のある親族の介護、⑤求職中などです。
専業主婦に②、③、④、⑤のいずれかに当てはまる事情があれば、保育の必要性があると認められることはあるでしょう。
ただし、就労している人と比較すると、保育の必要性があると認定されるハードルが高くなる可能性は否定できません。
幼児教育・保育の無償化は、2019年10月からスタートする新しい制度です。 具体的な運用については各地方自治体が検討を重ねていますし、細かい部分については制度がスタートしてから適宜修正・改善されていくはずです。 そのため、最新情報が入り次第、内容を更新していく予定です。 |
【参考】
- 幼児教育・保育の無償化:子ども・子育て本部-内閣府