養子縁組:普通養子縁組と特別養子縁組の条件の違いをわかりやすく解説

日本には、普通養子縁組と特別養子縁組という2つの養子縁組制度があります。

それぞれ要件や効果が大きく異なり、利用される状況も違っています。

この記事では、普通養子縁組と特別養子縁組の違いについて解説します。

養子縁組とは

養子縁組とは、親子の血縁関係がない者同士の間に、法律上、血縁関係のある親と子供の親子関係と同じ法律関係を生じさせることです。

養子縁組が成立すると、養子は嫡出子の身分を取得します。

養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

(民法第809条)

嫡出子とは、法律上の婚姻をした男女の間に生まれた子供のことです。

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嫡出子とは?推定されない・及ばない嫡出子との父子関係を否認する方法は?

養子縁組の種類(普通養子縁組と特別養子縁組)

日本には、普通養子縁組と特別養子縁組という2つの養子縁組制度があります。

普通養子縁組とは

普通養子縁組とは、養子と実親(血縁関係のある親)との親子関係を維持したまま、養子と養親との親子関係が成立する養子縁組です。

養子と養親の契約によって成立する養子縁組であり、民法第792条から第817条までに規定されています。

以前は単に養子縁組と呼ばれていましたが、特別養子縁組制度が創設された後、区別するために「普通」養子縁組と呼ばれるようになりました。

普通養子縁組をした養子は、法律上、実親と養親という2組(2重)の親子関係を持ち、実親と養親の両方に対して扶養や相続の権利義務を持つことになります。

縁組によって実親との親子関係が解消されず残るので、実親が死亡したときに相続人として遺産を相続したり、養親が扶養できなくなった場合に実親に対して扶養を請求したりできます。

養子にはメリットしかないように思えるかもしれませんが、養子が死亡すると実親が相続人となりますし、生活に窮した実親から扶養を求められることもあるので、実親との関係性が悪い場合などはデメリットもあります。

一般的には、妻の親と夫が養子縁組(婿養子)、相続税対策としての孫と祖父母の養子縁組、再婚後の連れ子と再婚相手の養子縁組などが多くなっています。

特別養子縁組とは

特別養子縁組とは、養親と養親との親子関係が成立する一方で、養子と実親の親子関係が解消される養子縁組です。

家庭裁判所が決定することで成立する養子縁組であり、民法第817条の2から第817条の11までに規定されています。

表面上、戸籍上も実親との関係が断ち切られ、養子の父母欄には養親の氏名が記載され、実子とほぼ同じ扱いとなります。

実親との親子関係が解消されることにより、実親の推定相続人ではなくなり、実親から扶養を受けることもできなくなります。

養子にとってデメリットが大きいように思え得るかもしれませんが、問題のある実親からの影響を防ぐことができるというメリットがあります。

例えば、実親が児童虐待や育児放棄をしている、子供を捨てがたっている、経済的に困窮して育てることができないなどの場合など、実親に育てられることが子の利益(子の福祉)にかなわないようなケースでは、特別養子縁組が選択されます。

子の利益の観点から必要があると認められる場合に限って選択される養子縁組であり、実親や養親の希望や都合で縁組することは認められていません。

また、実親との関係を解消することが子の利益となるか否かについては、家庭裁判所がケースの事情を総合的に考慮して慎重に判断することになっています。

養子の身分

普通養子縁組でも特別養子縁組でも、養子縁組が成立すると、養子は嫡出子の身分を取得します。

養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

(民法第809条)

嫡出子とは、法律上の婚姻をした男女の間に生まれた子供のことです。

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普通養子縁組と特別養子縁組が認められる条件の違い

普通養子縁組と特別養子縁組では、養子縁組が認められる条件が異なります。

普通養子縁組が認められる条件

普通養子縁組が認められるには、民法第792条から民法第801条までに規定された条件を満たさなければなりません。

普通養子縁組の要件
  • 養親が成年に達している
  • 養子が養親の尊属または年長者でない
  • 後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可を得ている
  • 婚姻している人が未成年者を養子にする場合、夫婦がともに養親になる
  • 養親または養子となる人が結婚している場合、配偶者の同意を得る
  • 養親または養子となる人に、養親または養子になる意思がある
  • 養子が15歳未満の場合は法定代理人が縁組の承諾をする
  • 養子となる人が未成年者の場合、家庭裁判所の許可を得ている
  • 養子縁組の届出をする

養親が成年に達している

成年に達した者は、養子をすることができる。

(民法第792条)

成年に達した者とは、原則として、20歳以上の人のことです。

例外的に、法律上の婚姻をすると成年擬制がはたらくので、未成年でも成年に達したとみなされます。

未成年で婚姻した後に離婚した場合も、成年擬制がはたらきます。

したがって、未成年で婚姻歴がない人は、普通養子縁組で養親となることはできません。

養子が養親の尊属または年長者ではない

尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

(民法第793条)

尊属とは、本人の父母以上の世代の親族のことです。

例えば、父母や祖父母、叔父・伯父・叔母・伯母などが尊属にあたり、養子にすることは認められていません。

年長者とは、本人よりも年上の人のことです。

例えば、いとこと養子縁組する場合、年下であれば認められますが、年上の場合は認められません。

後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可を得ている

後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。

(民法第794条)

被後見人とは、「精神上の障害によって判断能力が低下し、成年後見制度(法定後見制度)の利用により、家庭裁判所から後見開始の審判などを受けた人」または「未成年後見人が選任された未成年者」です。

後見人とは、家庭裁判所から選任されて被後見人の権利や財産を保護する事務を行う人です。

後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

また、後見人の任務終了後から管理の計算が終わるまでの間に、後見人が被後見人を養子にする場合も、許可が必要です。

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婚姻している人が未成年者を養子にする場合、夫婦がともに養親になる

配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

(民法第795条)

法律上の婚姻をしている人が未成年者を養子にする場合、配偶者(婚姻相手)と一緒に養子縁組をして養親になる必要があります。

ただし、連れ子のいる交際相手と婚姻するなど配偶者の実子を養子にする場合や、配偶者が判断能力の低下や行方不明などで意思表示できない場合は、一人で未成年者を養子にすることが認められます。

養親または養子となる人が結婚している場合、配偶者の同意を得る

配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

(民法第796条)

養親または養親となり人が婚姻している場合、配偶者の同意を得る必要があります。

養子となる人が成年に達していれば、夫婦が共同して養親または養子になる必要はありませんが、養子縁組の影響は配偶者にも及ぶため、一人だけで養子縁組する場合には配偶者の同意を得ることとされているのです。

配偶者の意思表示ができない場合は、同意がなくても養子縁組することが可能です。

養親または養子となる人に、養親または養子になる意思がある

普通養子縁組は養親と養子との契約によって成立します。

したがって、養子縁組が成立するには、養親となる人には「養子となる人の養親となる意思」が、養子となる人には「養親となる人の養子となる意思」が必要です。

養子が15歳未満の場合は法定代理人が縁組の承諾をする

  1. 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
  2. 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。

(民法第797条)

養子となる人が未成年でかつ15歳未満の場合、法定代理人が本人に代わって縁組の承諾をします。

法定代理人とは、親権者や未成年後見人などです。

法定代理人が親権を制限されている場合(親権停止、親権喪失)、親権の代行者と親権者の両方の承諾を得なければなりません。

養子となる人が未成年者の場合、家庭裁判所の許可を得ている

未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。

(民法第798条)

未成年者を養子にする場合、子の利益(子の福祉)の観点から、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

ただし、養子となる人が、養親となる人や配偶者の直系卑属(子供や孫、ひ孫など)であれば許可を得ずに養子縁組をすることができます。

養子縁組の届出をする

縁組の届出は、その縁組が第792条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

(民法第800条)

普通養子縁組は、市区町村役場に養子縁組の届出を行う必要があります。

養子縁組の届出が受理されるには、これまでに解説した要件を満たしていなければなりません。

特別養子縁組が認められるための条件

特別養子縁組は、実親との関係を断絶させるという強い効力を持つため、普通養子縁組よりも条件が厳しくなっています。

特別養子縁組の要件
  • 家庭裁判所の許可を得る
  • 夫婦共同で養親になる
  • 養親となる夫婦の一方または両方が25歳以上かつ夫婦の一方が20歳以上
  • 養子が6歳未満(場合によっては8歳未満)である
  • 養子となる人の実の両親の同意がある
  • 子の利益のため特に必要がある
  • 特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況(試験養育期間)

家庭裁判所の決定を得る

  1. 家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
  2. 前項に規定する請求をするには、第794条又は第798条の許可を得ることを要しない。

(民法第817条の2)

特別養子縁組は、養子と養親の契約ではなく、家庭裁判所が審判で決定します。

夫婦共同で養親になる

  1. 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
  2. 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。

(民法第817条の3)

特別養子縁組は、子供が安定した家庭で養育者の愛情を受けて健全な成長を遂げるための制度であり、養親となる人は夫婦でなければならず、夫婦が一緒に養親にならなければなりません。

ただし、夫婦の一方の実子と特別養子縁組をする場合は、夫婦の一方のみが縁組することができます。

養親となる夫婦の一方または両方が25歳以上かつ夫婦の一方が20歳以上

25歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、この限りでない。

(民法第817条の4)

養親となる夫婦は、少なくとも一方が25歳以上でなければなりません。

夫婦の一方が25歳を超えている場合、もう一方が20歳以上であれば、特別養子縁組をすることができます。

養子となる人が6歳未満(場合によっては8歳未満)である

第817条の2に規定する請求の時に6歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない。

(民法第817条の5)

養子となる人は、原則として、家庭裁判所に特別養子縁組の申立てをする時点で6歳未満である必要があります。

ただし、6歳未満の頃から養親となる人に監護されていた場合、申立ての時点で8歳未満でも特別養子縁組ができます。

なお、2019年3月15日、特別養子縁組の養子となる人の年齢要件を「原則15歳未満」に引き上げる民法改正案が閣議決定されており、今後、変更される可能性があります。

養子となる人の実の両親の同意がある

特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。

(民法第817条の6)

特別養子縁組が成立すると実親との関係が法律上断絶することから、実の両親が縁組に同意することが条件の一つとされています。

ただし、実の両親が行方不明などで意思表示できない場合や、虐待・悪意の遺棄などを行っていた事実がある場合は、同意がなくても特別養子縁組が認められることがあります。

子の利益のため特に必要がある

特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

(民法第817条の7)

子の利益(子の福祉)のための制度であることから、実の両親による監護が著しく困難または不適当であるなど特別な事情がある場合でないと、縁組は認められません。

特別な事情とは、実の両親による養子となる人の虐待や悪意の遺棄などであり、養親となる人が具体的な事情を家庭裁判所に説明し、証拠を提出することになります。

特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況(試験養育期間)

  1. 特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
  2. 前項の期間は、第817条の2に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。

(民法第817条の8)

養子となる人と養親となる夫婦の関係性を確認するため、6ヶ月以上の試験養育期間が縁組の条件の一つとされています。

通常は、試験養育期間を経て、養子と養親の関係性に特段の問題がなく、養子が健全な成長を遂げていることを確認した上で、家庭裁判所に特別養子縁組の申立てを行います。

その他の条件

法律には明示されていませんが、養子縁組に影響することがある条件について触れておきます。

収入

普通養子縁組も特別養子縁組も、法律上、収入に関する条件は規定されていません。

しかし、特別養子縁組や養子縁組許可(未成年者と養子縁組する場合)の申立てを行うと、家庭裁判所から夫婦の職業・職歴・収入・資産などに関する資料提出を求められます。

したがって、家庭裁判所の手続きを利用する場合は、収入が縁組の条件の一つとなっていると考えることができます。

夫婦の就労形態

法律上、夫婦の就労形態についての規定はなく、実務上も就労形態が縁組の許可・不許可に影響したことはありません。

したがって、夫婦が共働きであっても、雇用形態が正社員・契約社員・パート・アルバイトなどであっても、子の利益が確保されないほど生活が困窮していなければ、問題とはならないといえます。

実子の有無

法律上の制限はありません。

実務上、特別養子縁組については、不妊などで実子を授からない夫婦が養親となるケースが多いですが、実子のいるケースや、特別養子縁組後に妊娠したケースなどもあり、実子の有無で縁組が制限されたこともありません。

年齢制限

普通養子縁組については、養親は成年に達している(成年擬制を含む)必要がありますが、養子の年齢に制限はありません。

特別養子縁組の場合、養親は少なくとも夫婦の一方が25歳以上、養子は6歳未満(例外的に8歳未満)と規定されています。

養親の年齢の上限に関する規定がありませんが、年齢が高くなりすぎると認められにくくなる可能性はあります。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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